秋の訪れを知らせる虫も人気のペット


夏の風物詩が金魚なら、初秋の風物詩は

日本人が虫の声を楽しむようになった歴史はとても古く、平安貴族たちも虫籠にスズムシなどを入れ、その美しい鳴き声に耳を傾けたのだとか。

そして江戸時代

夏の終わりから秋にかけ、江戸の町にはスズムシやマツムシなどを売り歩く「虫売り」が登場し、人々に秋の訪れを知らせました。

『俳優見立夏商人』「虫屋」(歌川国貞 画)
『俳優見立夏商人』「虫屋」歌川国貞
蕎麦屋の屋台のように屋台を肩に担いで売り歩くスタイルで、屋台にはたくさんの虫籠がぶら下がっています。

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江戸時代中期に誕生したといわれる虫売りはかなり人気があったようで、あまりに数が増えすぎたため幕府が業者数を規制するほどだったとか。ちなみに、パっと目をひくオシャレな市松模様は虫売りのシンボルでもありました。

売られているのは、スズムシやマツムシ、キリギリス、カンタン、クツワムシといった鳴き声の美しい虫たち。季節によってはホタルやヒグラシなども売っていました。

買った虫を入れる虫籠も、素朴な竹細工からぜいたくな蒔絵入りのものまでバリエーション豊かに発展し、虫を飼う喜びに彩を添えました。

虫籠を持った美女が縁側で夕涼み(『虫籠を持つ美人』鈴木春信 画)
虫籠を持った美女が縁側で夕涼み。どんな虫が入っているのか気になるところ。それにしても肌が透けて見える紗の着物の色っぽいこと(『虫籠を持つ美人』鈴木春信 画)
江戸っ子たちは虫籠に入れて虫の鳴き声を家で楽しんだほか、ちょっと郊外に足をのばして虫の声を楽しむこともありました。これは「虫聴き」と呼ばれた秋のレジャーで、武士から庶民まで多くの人々が道灌山(どうかんやま)など“虫聴きの名所”を訪れました。

『東都名所 道潅山虫聞之図』(歌川広重 画)
虫聴きのようすは浮世絵にも。満月を眺めて虫の声に耳を傾け酒を飲む……なんとも風流です(『東都名所 道潅山虫聞之図』歌川広重 画)
郊外に足を運んで聴くのも風情があってよいですが、あえて家の中で虫籠から聞こえる虫の声を楽しむ。江戸っ子たちは、いろいろな楽しみ方をしていたようです。

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