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庶民にペットが普及したのは江戸時代
動物が人間と暮らすようになった歴史は古いのですが、一般庶民までペットを飼うようになったのは江戸時代のこと。
現代では、ペットのツートップといえば犬と猫。最近では猫人気が急上昇し、飼育頭数では犬と猫がほぼ並びました(ある調査で、2015年度の犬の飼育頭数(推定)は約991万7千頭、猫が約987万4千匹)。
では、江戸時代の人気ペットの筆頭格というと、現代と同じ犬と猫。特に江戸や京など大都市で定番ペットとして愛されたのが猫。まずは、猫についてご紹介。
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カワイイ+実用的=猫、大人気
世界に目を向けると猫が人間と暮らし始めたのは、なんと紀元前4000年頃のエジプトといわれています。
猫が日本にやってきたのは奈良時代のことだそうで、中国から輸入されました。輸入された理由がちょっと意外で、なんでも仏教の経典をかじるネズミを退治するためだったんだとか。ペットではなくネズミハンター。
平安時代になると、中国から輸入された「唐猫(からねこ)」は希少性とカワイさが貴族にウケ、ペットとして飼われるようになりました。紫式部の『源氏物語』や清少納言の『枕草子』にも猫が登場しています。猫は貴族たちに「手飼いの虎」などと呼ばれ大事にされたそう。
紫式部や清少納言らが活躍した時代に帝だった一条天皇は無類の猫好きだったそうで、常軌を逸した猫エピソードがたくさん残っています。
例えば、猫が出産したら人間並みに盛大な祝宴を開いたとか、猫に高位を授けたとか、猫の世話係として高級女官をつけたとか……。
希少性が高いうえにネズミも獲ってくれる猫は人々に大切にされ、逃げないように首輪をつけたり、ヒモで繋がれたりしていました。
珍しかった猫たちも長い年月の間に日本に定着し数を増やし、江戸時代には庶民も猫を飼うようになりました。
大名のお屋敷や裕福な商家では、猫の首に赤い木綿の首輪を巻き、それに金や銀の鈴をつけ、まさしく“猫かわいがり”していました。
懐いたかと思えばフラっとどこかへ行ってしまう。でも気が付くと傍にいたりする――そんな気まぐれな猫は人々に愛され、浮世絵にもたくさん登場しました。
こちらは大坂の町絵師・橘守国の作品です。猫は江戸時代の昔からコタツで丸くなっていたんですね。寝ている猫の幸せそうなこと、そろえた前足のかわゆさときたら。
お次のこちらは、江戸時代中期に吉原で評判を取った薄雲太夫(うすぐもだゆう)という遊女の絵。
薄雲太夫は大の猫好きだったそうで、かわいがっていた三毛猫をそれこそ四六時中そばにおいていたそう。
その有様に「薄雲太夫は猫に魅入られている」なんて噂も流れたとかなんとか。とにかく、それほど猫を溺愛していたんでしょう。
上の浮世絵に描かれている薄雲太夫も、よく見ると着物の柄が猫、髪を飾る簪(かんざし)までも猫!
ちなみに、この浮世絵の作者・月岡芳年も猫大好きでした。納得。
そして、江戸時代の猫好きとして忘れてならないのがこの人でしょう。