江戸時代の夏は今より涼しかった?
今年も夏がやってきます。近年、「猛暑」ばかりでウンザリですが、江戸時代は現代のように扇風機やエアコンなんて便利なものはありませんでした。では、どのように夏の暑さをしのいでいたのでしょうか?
まずは、江戸時代の夏と現代の夏、気温の違いのお話を。
ヒートアイランド現象などにより東京では夏になると30℃を超える日も珍しくなくなりました。気象庁によると東京の8月平均気温は26.7℃だそう(2015年)。
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一方、数百年前は世界的に「小氷河期」だったこともあり、江戸時代における夏の平均気温は、現代より2~3℃低かったといわれています。
アスファルト道路による照り返しもないので、現代より体感的にかなり涼しかったはず。
とはいえ、やはり夏は暑いので、江戸時代は基本的に一番暑い真昼間には働かず、比較的涼しい朝と夕方に働き、日没までには夕食を終えて夕涼みするという人も多かったんだとか。
さてそれでは江戸っ子流夏の過ごし方を「ファッション」「グッズ」「食べ物」「娯楽」の4ジャンルに分けて見ていきましょう。
ファッション編
夏ファッションの定番、浴衣の登場現代でも夏ファッションの定番として人気の高い浴衣。浴衣は平安時代の「湯帷子(ゆかたびら)」が原型といわれ、儀式などで沐浴する際に着用しました。
木綿と入浴習慣が普及した江戸時代になると、浴衣は風呂上りのあとに羽織るバスローブのような使い方がされるようになり、さらに、銭湯(湯屋)の帰りや夕涼み、家でくつろぐ際にも着られるようになっていきました。
ただし、あくまで浴衣の位置づけは「リラックスウェア」。近所や夏祭りなど“くだけた”場所はぎりぎりセーフでしたが、昼間に浴衣で町中を歩き回るのはNGだったようです。
ちなみに、夏の着物として裏地のない「単衣(ひとえ)」というものもあります。浴衣と単衣の違いは、浴衣は素肌の上に1枚で着るもの、単衣は肌着(襦袢)の上に着るものということ。
また、色や柄にも違いがあり、浴衣は白地の木綿を藍で染め抜く、もしくは藍地の木綿を白で染め抜き、柄も大きめで大胆なものが多かったんですが、単衣は濃い色地に縞や細かい柄のものが多かったそう。
サラリとした肌触りで吸水性も高い木綿の浴衣は、夏を涼しく過ごすための必須アイテムでした。
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