グッズ編
江戸の夏グッズには、現代も大活躍のアイテムがいっぱい!ファッションの次は夏グッズ。江戸時代の夏に欠かせないアイテムのなかには、数百年後の現代でも活躍するものもたくさんあります。
その1 団扇(うちわ)
まずは、現代でも夏のイベントなどには欠かせない団扇。その歴史は古く、古墳時代には中国から日本に伝来したそう。当時は「翳(さしば・さしは)」といって、団扇の柄を長くしたような形状でした。用途は涼をとるためにあおぐ、というより、威厳を正すため貴人の顔を隠す、虫を追い払うのが主だったとか。
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時代が下り室町時代末期になると、現代の団扇に近いものが登場、さらに江戸時代には庶民にも普及していき、扇いで涼をとったり、炊事の火起こしに使ったり、虫を採るのに使うなど日常的実用品として幅広いシーンで利用されるようになりました。
さらに、手動扇風機のようなものも。それがこれ。
団扇を数枚使った「手回し団扇」。その発想はなかった。大奥や裕福な商人など一部の人々が使用していたようです。こんなものが江戸時代にすでにあったなんてビックリ。
さらに、団扇は、おしゃれアイテムとしてファッションに取り入れる、芸術品として飾る、なんて使い方も。芸術性の高さから観賞用にもなった「団扇絵」は、歌川広重、歌川国芳、歌川豊国らといった超一流絵師が手がけました。
その2 蚊遣り(かやり)
こちらも夏の必須アイテム、蚊遣り。今も昔も人類は蚊に悩まされていました。現代だと渦巻状の蚊取り線香やスプレータイプの殺虫剤などがありますが、江戸時代にはまだ殺虫効果成分はなく、松の葉などを炭でいぶし、煙と匂いで蚊を追い払いました。
ちなみに、蚊取り線香を入れる陶器の入れ物といえばブタの形をした“蚊遣りブタ”を思い浮かべる人も多いかと思いますが、じつは、江戸時代にも“蚊遣りブタ”があったのです。それがこれ。
鼻がキュッとしててなんともかわいらしいブタさん。江戸時代後期のもので、現在の新宿区四谷にあった武家屋敷から出土しました。
「なんでブタなの?」という疑問がわきますが、一説に徳利の形を横にしたら「あれ?これブタに似てない??」となったからとも。江戸時代の蚊遣りにはブタだけでなくさまざまな形があったそうです。
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