ダルマな雪ダルマ

江戸時代の雪だるま(『江戸名所道戯尽』「廿二 御蔵前の雪」歌川広重 画)
「廿二 御蔵前の雪」(1859年)
春から一転、雪景色。でーんといらっしゃるのは文字通りダルマな雪ダルマクオリティ高すぎ。現代の雪ダルマは丸い雪玉を2つ重ねたものですが、そのタイプは江戸時代にはなかったみたいです。雪ダルマの前にいる男性は、下駄の鼻緒が切れてしまったようで、持っていたフグを雪ダルマに置いて鼻緒の修理をしています。……が、あ! フグが野良犬に狙われている!!
フグはこのあと、男性と野良犬どちらの胃袋に収まったんでしょうね。

やーめーてー!!!!!

「廿三 芝高縄」(1859年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「廿三 芝高縄」(1859年)
江戸湾を眺める芝高輪でお母さんと娘さんが洗濯物をしています。着物の糸をほどいて分解し、板に貼り付けて干す「洗い張り」という方法をしています。画像右に洗い張りをしている着物が見えますが、なんと、目の見えない男性が気づかずに立ち小便を……。もちろん悪気はありません。慌てて立ち上がったお母さんの悲壮な表情が見る者の同情を誘います。ついでに桶の近くにいる子犬はかわいいです。

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「漁夫の利」ならぬ「カッパの利」

「廿四 数寄屋かし」(1859年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「廿四 数寄屋かし」(1859年)
火事とケンカは江戸の華”と申しますように、大ゲンカが勃発中。マッチョな魚売り(画像右手前)に投げ飛ばされた水売りの男性は、自分の店に体当たり。屋台は崩壊、売り物の水も流れ、盃は散らばり散々です。画像右からはおそらく無関係な瓜売りまでケンカに参戦しようとやってきました。どんだけケンカ好きだよ。三つ巴のケンカの間隙をぬって「漁夫の利」を得ようとしているのが川から上がってきたカッパ。瓜売りがほったらかしにしている瓜のカゴをこっそり持っていこうとしています。

川から上がってきたカッパ(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)

そしてこの顔である。

人間の世界に違和感なく妖怪が紛れ込んでいるのがおもしろいですね。

なんだか楽しそう

「廿五 亀戸太鼓はし」(1859年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「廿五 亀戸太鼓はし」(1859年)
亀戸天神の名物は藤の花と、この太鼓橋。北斎広重も亀戸天神のユニークな太鼓橋を描いています。作中では現実にはありえないほど大きく湾曲していますが、実際にもかなり急角度だったようで足を滑らせる人もたくさんいたでしょう。こちらの絵でも中年女性がズッコケています。でもなぜか満面の笑顔。つられてズッコケた男性もやっぱり楽しそう。

柿泥棒、召し捕ったり〜

「廿六 五百羅漢さゝゐ堂の景」(1859年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「廿六 五百羅漢さゝゐ堂の景」(1859年)
たわわに実ったおいしそうな柿。木によじ登って子どもが柿の実をもいでます。さては柿泥棒? 子どもの顔がゆがんでいるのは、髷(まげ)に鳥刺し(小鳥を獲るのを生業にする人)の持っている長い竿が引っかかっているから。鳥刺しの男性が捕まえようとしたのは、柿泥棒? それとも柿の木のそばを飛ぶスズメ?

ことわざをビジュアル化するとこんな感じ

「廿七 芝飯倉通り」(1859年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「廿七 芝飯倉通り」(1859年)
「トンビに油揚げをさらわれる」ということわざがありますよね。大事なものを横からかっさらわれる、という意味のアレです。そんなことわざ通りの光景がこちら。今晩のおかずにしようと思っていたであろう大切な油揚げをザルごとトンビに奪われてしまったようです。トンビを見上げる男性のポージングが絶妙。

いつの時代も公衆トイレには落書きが

「廿八 妻恋こみ坂の景」(1859年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「廿八 妻恋こみ坂の景」(1859年)
芥坂(ごみさか)という名前の坂の途中、どうやら公衆トイレがあったようです。難しい顔をした武士が用を足しているのですが、相当クサイようで、お供の3人は鼻をつまんで顔をそむけています。

このゆかいなシーン、どこかで見たことある人もいるかもしれません。それがこれ。

江戸時代のトイレで用を足す武士(『北斎漫画』より、葛飾北斎 画)

『北斎漫画』(第12編)の「尿別所」です。用を足している武士やクサがっているお供たちなどがそっくりです。

広景がアレンジを加えているのが公衆トイレの落書き部分。比べてみましょう。

江戸時代のトイレにあった相合傘の落書き(『北斎漫画』より、葛飾北斎 画)

江戸時代の便所にある相合傘の落書き(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)

北斎のほうでは相合傘だけだった落書きに人の顔と男性器が仲間入り。バカバカしさに拍車がかかっています。

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