四コマ漫画のキャラみたい
これ、完全に四コマ漫画のキャラクターです。耳鳥斎(にちょうさい)が活躍したのは200年以上前。その頃にまん丸お目目の表現とか既にあったんですね。
描かれているのは当時の人気役者。江戸時代の役者絵というとイメージするのはこんな感じの絵ではないでしょうか。
描いたのは耳鳥斎と同時代に江戸で活躍した絵師・東洲斎写楽。こちらは有名浮世絵師の傑作特集でも紹介しました役者絵『市川鰕蔵の竹村定之進』。デフォルメされた役者の表情が迫力満点に描かれています。
スポンサーリンク
対して耳鳥斎の役者絵はこんな感じ。
![『絵本水や空』の2(耳鳥斎 画) 『絵本水や空』の2(耳鳥斎 画)](https://edo-g.com/blog/wp-content/uploads/2016/11/nichosai3_m.jpg)
うーん、かわいいな。ホニャっとした口元の表現なんか、どう見ても漫画のそれ。時代を先取りしすぎです。
ちなみに、これは耳鳥斎の最初の作品集にして代表作のひとつ『絵本水や空』(1780年)という役者絵集。
『水や空』というタイトルも素敵です。タイトルの意味は「水や空とも見分けがつかない、つまり、役者の仮の姿か本当の姿が見分けがつかない捉えどころのない作品」とも。
もう一丁、同作品集から。
![『絵本水や空』の3(耳鳥斎 画) 『絵本水や空』の3(耳鳥斎 画)](https://edo-g.com/blog/wp-content/uploads/2016/11/nichosai4_m.jpg)
これまたおもしろい。特に左の人!シャッシャッと描いた手足の表現もユニークですが、口が個人的にお気に入り。
もう一丁。
![『絵本水や空』の4(耳鳥斎 画) 『絵本水や空』の4(耳鳥斎 画)](https://edo-g.com/blog/wp-content/uploads/2016/11/nichosai5_m.jpg)
丸い人と細長い人。右ページは、『傾城反魂香』という浄瑠璃・歌舞伎の演目に登場する浮世又平が死ぬ前に自画像を手水(ちょうず)に描く、というかなりシリアスなシーンなのですが悲壮感まるでなし。楽しそうに落書きしているようにしか見えません。
もう一丁。
![『絵本水や空』の5(耳鳥斎 画) 『絵本水や空』の5(耳鳥斎 画)](https://edo-g.com/blog/wp-content/uploads/2016/11/nichosai6_m.jpg)
太い(確信)。
もちろん右ページの人のことですが、足の表現がオモシロイですね。まるで着物の一部みたいです。顔はなんだか水木しげる御大風。
もう一丁。
![『絵本水や空』の6(耳鳥斎 画) 『絵本水や空』の6(耳鳥斎 画)](https://edo-g.com/blog/wp-content/uploads/2016/11/nichosai7_m.jpg)
右の人、あっかんべーしてます。”主人公の友達グループにいるおバカキャラ的雰囲気”に思わず唸ります。
そして個人的意見なのですが、このキャラに似ている。
![牛馬鹿丸(『THE MOMOTAROH』 にわのまこと 作) 牛馬鹿丸(『THE MOMOTAROH』 にわのまこと 作)](https://edo-g.com/blog/wp-content/uploads/2016/11/nichosai8_m.jpg)
『THE MOMOTAROH』(にわのまこと)に登場する牛馬鹿丸。
1980年代に週刊少年ジャンプで連載された懐かし漫画。目とマロ眉がそっくり。