富士山と太陽のベストコンビ
白い富士山、深く青い空、真っ赤な太陽、そしてたなびく金色の雲。シンプルながら洗練されたスタイリッシュな1枚で、江戸時代の作品とは思えない現代的な空気を醸し出しています。
作者は、江戸時代後期を代表する“琳派”の絵師で、洗練された都会的な作風で知られる酒井抱一。姫路藩主の弟というセレブ出身の絵師でした。
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月夜の富士と名将と
ぽっかりと月が浮かぶ静かな夜。世界遺産に登録された三保の松原から富士山を見つめるのは、“甲斐の虎”と恐れられた戦国武将の武田信玄公。名将の目に月夜の富士はどのように映っているのでしょうか。
こちらの絵、作者は幕末から明治にかけて活躍した絵師・月岡芳年。月をテーマにした晩年の傑作シリーズ『月百姿』のなかの1枚です。
鶴部隊、富士を越える
富士山、鶴、朝日というおめでたいモチーフを描いた作品ですが、なんだかとっても“普通じゃない”感が漂っています。なにせ、富士山はエベレストもかくやと思われるほどにとんがっているし、鶴は一直線に編隊を組んで飛んでいるし……。
このユニークな作品の作者は“奇想の絵師”といわれる江戸時代中期の絵師・長沢蘆雪。
ぞろぞろゾロゾロ……多すぎぃ!
これも異色の富士山絵。富士山というより富士山を登り下りする登山客の多さが気になってしょうがない。
ちなみにこの作品は幕末に描かれたもので、乱高下する物価の風刺画といわれています。よく見ると登山客の笠に「米」とか「油」とか書かれていて、登る人々は物価が上がったもの、下る人々は物価が下がったものを意味するんだとか。
それにしてもユニーク。
荒波に飲まれそう
駿河湾の海は荒れ模様のようで、大波が今にも富士山を飲み込んでしまいそう。でも、富士は泰然自若としており、「動」と「静」の対比が印象的。
作者は、独創的かつ大胆な構図で世界的にも有名な江戸時代後期の浮世絵師・歌川広重。
富士山は多くの絵師に愛されましたが、広重もまた富士山を愛した絵師のひとり。広重らしいユニークな富士山絵をいくつかご紹介。
なんだかかわいらしい富士山
先ほどの荒々しさとは打って変わって、こちらはパステルカラーのお花たちに囲まれた、なんだかかわいらしい雰囲気の富士山。色とりどりの秋の草花が咲き乱れる野原から見る富士山にほっこり癒されます。
ちなみに、『冨士三十六景』は富士山をテーマにしたシリーズで広重の代表作のひとつです。
次も同シリーズより by 広重。
富士山を探せ
どこまでも広がる小金原の平野(現・千葉県松戸市)から眺める富士を描いたものですが、主役は富士山より馬!?広重の発想の自由さには脱帽です。
最後にもう1枚、広重。
富士山にズームイン!
こちらも奇想天外な富士山。一見するとなんだかよくわかりませんが、丸い部分は望遠鏡をのぞいて見える富士近郊の風景だそう。これまたすごい発想。富士山の周りを飛ぶたくさんの鶴のシルエットもおもしろいですね。
さてさて、富士山を描いたシリーズとして広重の『冨士三十六景』と並んで有名なのが、天才・葛飾北斎の『富嶽三十六景』でしょう。通称「赤富士」などの超有名作が目白押しの同シリーズから個人的にイチオシの作品がこちら。