次は代表作のなかでも一番人気(たぶん)。
地獄なのに楽しそう
こちら、「煙草好きの地獄」。つまり、ヘビースモーカーは地獄行き。地獄でどんな責め苦が待っているかというと……なんと、大好きな煙草になっちゃいました。
口から煙をモクモク~。これはある意味、本望なのでは? また、ある者は赤鬼の傍らで煙草入れとなって転がっています。その表情はどこか幸せそうです。
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次なる地獄は――
「太鼓持ちの地獄」です。太鼓持ちとは、遊郭などの宴席で場を盛り上げる男芸者のこと。生前、芸をもってお客を笑わせていた太鼓持ちたち、地獄では鬼に猿回しの猿のごとく縄でつながれながら、笑うはずもない羽織や刀を相手に必死の芸を披露しています。
しかし、羽織や刀が笑うはずもなく……太鼓持ちたちのご機嫌取りは無限に続きます。これはたしかに地獄かも。
とまぁ、こんな感じのユニークな地獄が21種類も登場するこちらは『別世界巻』(1793年)という作品。巻物スタイルで全長10m以上という大作です。
他にどんな地獄があるかというと、
大根役者ということで、野菜の大根と煮込まれる歌舞伎役者の地獄だったり、
飴屋の地獄だったり、
ところてん屋の地獄だったり、
立花師(お花の先生)の地獄だったり、
そば切好きの地獄だったり、
非常にニッチな地獄がたくさん。
この作品、おもしろいだけでなく「どんな職業の人でも行いが悪ければ地獄へ落ちる、という当たり前ながら泰平の世で忘れがちなことを“笑い”と“恐怖”をもって人々に思い出させよう」という作者の深イイ思いがあるんだとか。
『別世界巻』については別記事「【画像あり】江戸時代の妖怪絵巻がゆるカワ過ぎてほっこりする【厳選5作品】」でも特集してます。合わせてご覧ください。
では、次の作品。