女性の美しさを追求し内面まで描き出した美人画の巨匠
1人目
喜多川歌麿(きたがわうたまろ)
背景を省略し白雲母(しろうんも)を散りばめてあります(雲母摺〈うんもずり〉)。キラキラして女性の美しさが際立つようですね~。赤と白の市松模様の着物がオシャレ。若い娘さんの初々しい美しさ、みどころ満載です。
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恋文をしたためる遊女の幸福感
先ほどの作品とおなじく雲母摺(うんもずり)の美人画。美しい遊女がしたためているのは恋文でしょうか。女性の表情は「恋する乙女」そのもの。思わず知らずにほころんだ口元が秀逸。
「透け感」が生み出す色気
女性美を追求し続けた歌麿、「透け感」には女性をより美しく、より色っぽく見せる効果があると発見したようで、「透け感」を巧みに取り入れた美人画もたくさんあります。こちらの絵は透けた団扇から見える女性の口元がなんとも色っぽい。
闇夜と灯りのコントラスト
降りしきる雨のなか、お座敷へ向かう芸者とお供の女性。闇夜の足元を照らす提灯からもれる灯りがまるでスポットライトのよう。
怒った顔もまたよし
つれない男からの文か、怒り顔で文をくしゃくしゃにする遊女。薄墨の着物は「透け感」のある生地のようで、下に着ている紅色の長襦袢(じゅばん)の模様が透けてます。顔をそむけたことで生まれる女性らしい優美なライン、ふとともの曲線、怒ってすねた表情など妖艶さ漂う傑作です。
おどけた表情が目を引く異色の美人画
鏡ごしに赤ちゃんをあやす女性。「あかんべ」と舌を出す表情がユニーク。女性美を貪欲に探究した歌麿だからこそ描けた表情といえるかも。
<喜多川歌麿について>
喜多川歌麿は、上半身をクローズアップさせた「大首絵(おおくびえ)」という形式で描いた美人画を考案し、美人画の第一人者として一時代を築きました。顔を強調することで、モデルの美しさだけでなく性格や感情、生活までも描き出そうとしました。人気絶頂にあった歌麿ですが、「太閤五妻洛東遊観之図」という作品が幕府批判とされ捕縛、牢に入れられ処分を受けました。のち許されましたが、失意のうちに没しました。