さて、ここで耳鳥斎とは何者なのか? について。

じつは耳鳥斎についての記録は少なく、はっきりした生没年も画業も不明という謎多き絵師。今から250年ほど前の江戸時代中期、1750年前後に大坂で誕生し、1803年前後に亡くなったと考えられています。俗名、松屋平三郎。

商人の町・大坂で生まれた耳鳥斎も酒造業を営む商家に生まれ、酒造業、次いで骨董業を生業とし、商売の傍ら趣味の絵を描いていました。決まった絵の師匠はおらず、ほぼ独学の素人絵師として出発した異端児ゆえ、自由でユーモラスな作品を数多く残しました。ちなみに、耳鳥斎の作品は「戯画」と呼ばれる世相を笑いと風刺を交えて描いたものにジャンルされます。

ユニークな耳鳥斎の作品は大坂の人々のハートを掴み「浪花の奇才」として人気を集め、「江戸の写楽、浪花の耳鳥斎」とまでいわれたそう。

近代になるとその存在は忘れ去られましたが、明治から大正にかけて活躍したジャーナリストの宮武外骨(みやたけがいこつ)や芸術家岡本一平らにより再評価され、最近では耳鳥斎を特集した展覧会も開催され図録も人気です。

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岡本一平は耳鳥斎をリスペクトし、先ほどの『絵本水や空』のオマージュ作品『新絵本水や空』を昭和に入ってつくっています

『新絵本水や空』(岡本一平 画)
昭和の名優を耳鳥斎のようなゆるタッチで岡本一平が描いた『新絵本水や空』
ちなみに、岡本一平の息子は、「芸術は爆発だ」でおなじみ、岡本太郎です。芸術家の子は芸術家。


さあ、耳鳥斎のユルかわ面白作品をどんどん見ていきましょう。

地獄の閻魔もこの笑顔

『あらし小六過去物語』の1(耳鳥斎 画)

これは人気歌舞伎役者・嵐小六(初代・嵐雛助)を主人公にした『あらし小六過去物語』(1797年)という作品のなかの挿絵。出版前年に急死した嵐小六が地獄めぐりをするという荒唐無稽なストーリーで、耳鳥斎が挿絵を担当しました。

で、こちらの絵は主人公の嵐小六が地獄の閻魔の前でお裁きを受けるシーンなのですが、閻魔(右ページの上中央)がちっとも怖くない。まんまるお目目に三角お口。左右に居並ぶ面々もニカっとしてます。

次も同作品から。

『あらし小六過去物語』の2(耳鳥斎 画)

なんだか登場人物がワチャワチャしていますが、みんなかわいいです。ちょっとドジョウとかカエルとか両生類的愛くるしさがあります。

あと、左ページの力士、こっち見んな。

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投稿日: 投稿日:カテゴリ:カテゴリー 芸術・文化

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