さて、残り3作となりました。では、どうぞ!

隠れた人気作

ヒョウの浮世絵(無題、1860年、歌川広景 画)
無題(1860年)
ものすごい形相のヒョウが牙をむき出しにして鶏に食らいついています。血を流す鶏の断末魔の鳴き声が聞こえてきそうです。ユーモアが際立つ広景には珍しいショッキングな作品です。このヒョウは、1860年(万延元年)の夏に両国で見世物にかけられ話題となったもの。ちなみに当時は「虎」として紹介されていました。広景のほか、河鍋暁斎歌川芳幾など有名絵師たちもこのヒョウを描いています。

余談ですが、広景のこちらの作品、現代でも隠れた人気があり、Tシャツやマウスパッド
にデザインされたりなんかもしています。

次も同じくヒョウ。

しっぽがキュート

鶏を食べるヒョウの浮世絵(無題、1860年、歌川広景 画)
無題(1860年)
先ほどと同じく両国で見世物にかけられた虎(本当はヒョウ)。やっぱり鶏が食べられています。地面に散らばった羽が生々しいです。恐ろしいヒョウですが、しっぽがクルンとしているのがキュートです。でもちょっと長すぎない?

最後の作品もかなりユーモラスです。

ネーミングセンスがすばらしすぎる

『青物魚軍勢大合戦之図』(1860年)(歌川広景 画)
『青物魚軍勢大合戦之図』(1860年)
一見すると鎧に身を包んだ武者たちによる合戦図に見えますが、よーく見ると戦っているのは野菜VS魚!? 擬人化された野菜と魚が二手に分かれてバトルするという斬新な作品です。魚軍の大将・蛸入道八足(たこにゅうどうはっそく)は口からビームを出すと、小ダコたちが敵に突撃。もうメチャクチャです。

魚軍、野菜軍それぞれの武将につけられたネーミングのセンスが抜群なのでいくつかご紹介。

まず、野菜軍。

トウモロコシの「藤 唐土之助(とう もろこしのすけ)」、ソラマメの「空 豆之進(そら まめのしん)」、ブドウの「甲斐 武道之助(かい ぶどうのすけ)」などなど。

対する魚軍。

マグロの「大鰭 鮪之助(おおひれ まぐろのすけ)」、トビウオの「戸尾 魚次郎(とび うおじろう)」、サザエの「佐々井 壺八郎(ささい つぼはちろう)」などなど。

いやぁ、すばらしい。

ちなみに、このユニークな作品については諸説あり、一説に前年にコレラが大流行したことを踏まえ「コレラにかかりやすい魚とコレラにかかりにくい野菜の見立て絵」であるとも、紀州派と水戸派による13代将軍・家定後継次期将軍争いを描いているとも。未だに定説はありませんが、当時の庶民の間でもいろんな議論が巻き起きたそうです。単なるおもしろい絵ではないようです。

以上、歌川広景の全作品65点でした。

歌川広景はあまり有名な絵師ではありませんが、こんなにも楽しい作品を残してくれた広景。江戸時代の絵師は奥が深いです。

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