ぐぇ〜

「四十二 初音の馬場」(1860年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「四十二 初音の馬場」(1860年)
ここは馬喰町(ばくろうちょう)の初音の馬場。もともとたくさんの軍馬を管理する大規模な馬場があったところですが、明暦の大火のあと火除け地として広場になったところです。画像左に大きな火の見櫓も見えます。染物屋さんがあったようで、反物が干されていますが、それに気づかず盲目の男性が引っかかってしまいました。しかもはずみで懐に入れていた小銭もジャラジャラ落ちちゃった。

どうも広景の手にかかると盲目の男性はたいがいヒドイ目にあっています。

なんのダンジョン?

「四十二 いひ田まち」(1859年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「四十二 いひ田まち」(1859年)
坂道を歩いていたら臼が後ろからゴロゴロ転がってきたんです。もう、ビックリしましたよ。まさか臼が転がってくるなんて思わなかったから。ええ、転んじゃいました……。お恥ずかしいです。

とある女性のお話でした。

オチが秀逸

「四十四 外桜田柳の井」(1860年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「四十四 外桜田柳の井」(1860年)
場所は諸大名の武家屋敷が建ち並ぶ外桜田。柳の下にある井戸の水を汲もうとした男性たち、井戸をのぞき込むとーーぎゃっ! お、お、鬼だ〜!!! あまりのことに腰を抜かしちゃっています。怪異の正体はというと、じつは柳に引っかかっていた凧の絵柄でしたというオチ。おもしろいことを考えるもんですね。

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勘弁してよね〜

「四十五 赤坂の景」(1860年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「四十五 赤坂の景」(1860年)
床屋で髪を剃ってもらったら、手元が狂ったのか切りすぎちゃったもよう。床屋は「あちゃ〜」といった表情です。周りの客は大爆笑ですが、切られた本人はこの顔である。

1本のボロ傘

「四十六 本郷御守殿前」(1861年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「四十六 本郷御守殿前」(1861年)
突然の夕立。傘をさす男性はいいとして、画像左の男性は俵をかぶってやり過ごす作戦。なにかしらの妖怪みたい。注目は中央の3人組。誰がいい出したのか、1本のボロ傘を3人で使おう作戦。肩車をしてもらっている男性は「いいアイデアだろう?」といわんばかりに満足げな表情ですが、下の2人は重いし雨に濡れまくりで不満タラタラのようす。途中で交代してもらえるといいね。

余談ですが、背景に描かれてる赤い門は「東大赤門」として有名なあの赤門。江戸時代には加賀藩の上屋敷の門だったんです。

江戸のリアクション芸

「四十七 青山宮様御門前」(1861年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「四十七 青山宮様御門前」(1861年)
広場で鍛冶職人がトンカンとやっています。赤フン一丁でなんとも勇ましい。ところが飛び散った火花が通りがかりの男性の足に直撃。痛アツがる男性には申し訳ないですが、表情といいポージングといい、すばらしいリアクションです。

幸先悪すぎ

「四十八 新よし原えもんさか」(1861年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「四十八 新よし原えもんさか」(1861年)
駕籠に乗って吉原へ向かう武士。きっと心はウキウキと浮き立っていたことでしょう。が、駕籠かきが盲目の男性とぶつかってしまって駕籠は転倒、乗っていた武士もゴローン。せっかく楽しみにして来ただろうに幸先の悪いことです。

ちなみにこの場所は、日本堤という隅田川の堤防から吉原へ続く衣紋坂。衣紋坂の入り口には柳の木があり、吉原帰りの客が名残惜しさに吉原を振り返ることから「見返り柳」というシャレた名前がついていました。

空飛ぶしゃもじ

「四十九 内藤しん宿」(1861年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「四十九 内藤しん宿」(1861年)
ここは内藤新宿という宿場町。甲州街道の最初の宿場町として繁栄した場所で、現在の新宿駅周辺にあたります。街道をゆく馬が突然暴れ出したようでマッチョな馬子が手綱を取ろうと奮戦中。しかし馬の脚力はすごいもので、不運にも食事ののったお膳が空高く蹴り上げられてしまいました。あぁ、しゃもじもタイも空を飛んでいるーー。

事案発生中

「五十終 浅草歳の市」(1861年)(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「五十終 浅草歳の市」(1861年)
記念すべきシリーズしめくくりの1枚。にしては中央で巨大な男根が女性に向かって飛んでいる……。年末、大勢の人々でにぎわう浅草寺の歳の市での光景を描いたものですが、カオスすぎます。どうやら、男根やほうき、しゃもじなどをパーツにした人形を男性たちが運んでいたのですが、雷門の下で崩壊したらしい。たまたま、そこを通りかかった女性たちに男根パーツが飛んでいったらしい。でも、男性たちの表情を見るとワザとなんじゃないかと勘繰りたくなります。

こんなとこまでシャレオツ

「五拾番続」(『江戸名所道戯尽』より、歌川広景 画)
「五拾番続」
最後にシリーズの作品名を列挙した「目録」です。目録といえどデザインがすばらしいですね。これだけでも一見の価値があります。

とにかくハプニングが続き、不運な人が続出する『江戸名所道戯尽』。こんなにもユーモラスで躍動感のある風景画はほかにないんじゃないでしょうか。

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