• 更新日:2022年4月3日
  • 公開日:2016年1月17日


平均寿命は短いが大活躍したご長寿もたくさん!


平均寿命が30~40歳と考えられている江戸時代ですが、20~30代まで無事に生きていたらその後は60歳くらいまでとわりに長生きできたそうです。

たとえば、天才絵師として世界にその名を知られる葛飾北斎は90歳(満88歳)で没するまで現役でバリバリ傑作を描いていましたし、『南総里見八犬伝』の著者として知られる人気作家・曲亭馬琴も82歳で没するまで現役作家でした。

また、日本で初めて正確な日本地図をつくったことで知られる伊能忠敬は73歳で他界していますが、測量家となったのは56歳で隠居してからのことです。

葛飾北斎の絶筆『富士越龍図』
葛飾北斎の絶筆ともいわれている『富士越龍図』。死の3ヶ月ほど前に描いたとも。最晩年にして冴え渡る画力に圧倒されます。

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ほかにも、ドラマでおなじみ「水戸のご老公」こと水戸光圀は享年73、『解体新書』で知られる蘭学者・杉田玄白は享年83、『曽根崎心中』などを書いた浄瑠璃作家・近松門左衛門は享年72と、江戸時代を代表する偉人には長生きした人もたくさんいました。

ちなみに。現代、定年退職の年齢は60歳(そのうち65歳)ですが江戸時代、町人の場合は45~50歳ほどで隠居するのが一般的でした。その後は、それまでがんばって働いて成した財をもとに悠々自適な隠居生活をするのが理想とされていました。

江戸時代の老人(『絵本江戸紫』より)
縁側で煙管をくゆらせる老人。絵に描いたような楽隠居ぶり。しかし、こうした素敵な隠居生活をするにはそれまでに老後資金を用意しておかねばならなかったのは今も昔も同じ。(『絵本江戸紫』より)


最後に。
江戸時代の老人観がわかるおもしろい絵があるのでご紹介します。


田家茶話六老之図(歌川国芳 画)
歌川国芳の『田家茶話六老之図』。
これは「老い」を風刺した6つの狂歌が書かれた絵です。老いることをむしろ楽しんでいるような雰囲気がおもしろい。ちなみにどんな狂歌かというと画面右から

「シワが寄る ほくろができる 背はちぢむ あたまはハゲる 毛は白くなる」
「手はふるふ 足はよろつく 歯はぬける 耳はきこえず 目はうとうなる」
「身におふは 頭巾えり巻 杖 眼鏡 たんこ温石 しびん 孫の手」
「くどくなる 気みじかになる 愚痴になる 心はひがむ 身は古くなる」
「聞きたがる 死にとふながる 淋しがる 出しゃばりたがる 世話をしたがる」
「またしても おなじはなしに 子をほめる 達者自慢に 人はいやがる」

なんというか。江戸時代の老人、現代の老人とまったく同じ。年寄りはありがたい存在であるとともにちょっとメンドクサイ存在だったのは時代が変わっても同じようです。

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