携帯用喫煙セット「タバコ入れ」がオシャレに進化しすぎ
火災の原因となることから屋外での喫煙には今以上に注意が必要でしたが、仕事のひと休みに一服、旅先で一服、行楽の途中での一服……などはよくあったようです。
そんな屋外での喫煙で活躍したのが喫煙アイテムがコンパクトにセットになったタバコ入れでした。
タバコ入れの代表的なものはこんな感じ。
上から順に部品の説明をしますと、帯に挟んでタバコ入れが落ちないようにする「根付(ねつけ)」、煙管を入れる「煙管筒」、刻みタバコを入れる「タバコ袋」となっており、これらが鎖でひとまとめにされています。
「根付」は実用的でシンプルなものからスタートし、やがて装飾性とウイットに富んだユニークなものが数多くつくられ、コレクターを生みました。そんな「根付の世界」についてはまた別の機会に。
煙管がステータスシンボルであったように、タバコ入れも持ち主が個性を発揮するファッションアイテムとして進化し、セレブな人々はお金をかけた凝ったオンリーワンの「マイタバコ入れ」をしつらえました。
季節やシーン別に何個も持ったといいますからシャレてます。一説に高額なタバコ入れは高級車が買えるくらいの値段がしたとか。すごい。
では、個性的で美しいタバコ入れをいくつかご紹介しましょう。
こちらは「金唐革(きんからかわ)」というオランダから輸入した貴重な革を使用したタバコ入れ。海外に憧れるセレブが持っていたんでしょうか。
これは木製のタバコ入れ(別名「とんこつタバコ入れ」)のひとつで、刻みタバコを入れる部分がダルマになっており、なんと顔が蓋。
煙管筒を帯に差すと、ちょうどダルマが落っこちないよう帯にしがみついているように見えるというユニークな一品です。
ユニークさでいえばこれがナンバーワンでしょう。なんと熊の手のタバコ入れです。
熊の手の内側に木製の容器が入っていて、ここに刻みタバコが収納できます。これは目立つこと間違いなし。一体、どんな人が腰にぶら下げていたのか気になります。
女性用のタバコ入れは腰にぶら下げるのではなく、懐に入れるタイプが主流。こちらのタバコ入れのようにインドなどから輸入した生地でつくられたものが多いのだとか。今見てもステキですね~。
こちらも高級な輸入生地を使用した女性用タバコ入れ。深い紫色のビロード生地に艶やかな秋の草花が刺繍されたとても美しい一品です。セレブのご婦人が秋になると使ったのでしょうか。
江戸時代の携帯用喫煙セットには、持ち主と職人のこだわりが詰まっていますね。