またまた難問クイズ。

これ、なに屋さんの看板でしょうか?

江戸時代の餅屋の看板(『用捨箱』柳亭種彦 作)
『用捨箱』(柳亭種彦 作)より
画像右が看板です。人面馬ではありません。お福さんのお面をかけた木馬の看板です。

この珍妙な看板は、餅屋さんの看板

なんで馬なのかといいますとーー

荒馬

あらうま

あら、ウマい!

うん、すごいこじつけを見た。

ちなみにこれは大坂のお餅屋さんの看板です。江戸っ子も浪速っ子も駄洒落大好き。

なんでお福さんのお面を馬がつけているかというと、「馬の息がお餅にかかったらちょっとイヤでしょ」という謎配慮らしい。さらに「覆面」をもじって「福面」なんだとか。ダブルボケ。

動物系看板でいえば、楊枝屋さんは店先に猿の看板を置いたんだとか。

その心は「猿=ましら」つまり「楊枝で歯を磨けばましら(真っ白)になる」というわけ。

頭の体操になりますね。

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次は2つのお店の看板です。

『名所江戸百景』「びくにはし雪中」(歌川広重 画)
(『名所江戸百景』「びくにはし雪中」歌川広重 画)
雪景色の江戸です。

画像右端と左端にそれぞれ看板があります。

まず、画像右端。

「○やき」「十三里」と書かれた看板があります。

これは一体なんのお店の看板かといいますと、江戸っ子の冬のおやつの定番「焼き芋」です。

焼き芋は栗よりウマい→くりより→九里四里→足して十三里

やっぱり駄洒落。でも、最初に考えた人、天才。ちなみに初期には「栗(九里)の甘さには及びませんが」ということで「八里半」と書かれていました。ちょっと謙虚だ。

さて今度は画像左端にご注目。「山くじら」と大書された看板があります。

ズバリそのまま「山くじら」を売るお店なわけですが、その「山くじら」の正体は……イノシシです。イノシシ肉を使った鍋料理などを提供するレストランの看板だったのです。

江戸時代が「肉食タブー」だったのはよく知られていますが、それはあくまで表向き。人々はこっそりイノシシやシカ、カモなどの肉を食べていました。が、堂々と食べるにはまだ世間の目が気になるので「隠語」を使ってカモフラージュしていたのです。

看板にはその時代の風俗がいろいろ反映されていて、それを知るのもまた面白し。

最後におまけクイズ。

先ほど登場した「十三里」と書いた看板は焼き芋屋さんのものでしたが、では、「十三」と書いた看板はなに屋さんのものでしょうか?

ヒントはこの絵に描かれているものです。

『櫛を持つ女』(喜多川歌麿 画)
『櫛を持つ女』喜多川歌麿 画
そう、答えは櫛屋さんの看板でした。その心は、櫛→くし→九四→足して十三、というわけです。

わかった人はかなりの江戸っ子レベル。

江戸時代、特に江戸の人々はこんな感じの「判じ物」つまり「なぞなぞ」や言葉遊びが大好きだったので、看板にもたくさんの「なぞなぞ系」があったのです。すごく知的な遊びココロですよね。

さらに、最後のおまけ。

江戸時代のウルユス(下剤)の看板

馬に乗った紳士が「ウルユス」という謎の言葉を掲げています。

これは明治時代の看板なのですが、はたして何の看板かといいますと、「ウルユス」という名前の薬(下剤)の看板なんです。

余談ですが、この「ウルユス」というちょっと怪しげなカタカナ名の薬は江戸時代後期に誕生したもので、日本初のカタカナ名の薬なんだそう。

謎めいたネーミングを解説しますと、「ウ」「ル」「ユ」の3文字を組み合わせると「空」という漢字になります。(「ユ」じゃなくて「エ」じゃないの?という野暮なツッコミは華麗にスルー)

「ウユルス」はつまり「(おなかのなかを)空にする」となるわけです。

現代でもなにかというと横文字ネーミングにして気取ったりする風潮がありますが、江戸時代にもカタカナ名にすることで「海外の最新薬(ぽく)」かと見せて、ありがたみをアップさせていたんです。

江戸時代の看板からは、商品や店名をアピールする単なる手段という以上のものが感じられます。

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投稿日: 投稿日:カテゴリ:カテゴリー 雑学、ネタ

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