これがわかればアナタも江戸人!? 駄洒落で笑いを誘う「なぞなぞ系」看板
さぁ、お待たせしました。駄洒落好きな江戸っ子たちを喜ばせた「なぞなぞ系」看板です。江戸時代風にいえば「判じ物」の看板です。なんとなく想像がつくもの、解説されれば納得のもの、ぜんぜん意味不明なもの、などなど盛りだくさんです。
まずは看板クイズ、初級編。
これ、なんでしょう?
おかめの顔の看板なんですが、よく見ると……下駄なんです。そう、これは下駄屋さんの看板。下駄とおかめがどう関係あるのかはわかりません(笑)
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次の問題もよく見ればわかる。かな?
ヒントは文字がデザインされています。
わかりますか?
答えは……糊屋さんの看板です。「のり」の文字がデザインされているんですね。これはシャレてる。
ちなみにこの糊屋さんの看板は大坂や京などだけで、江戸では見られなかったそう。なんでも江戸では糊を売るのは木戸の番人小屋がほとんどだったんだとか。さすが江戸版コンビニ・番人小屋、なんでも売ってます。
さぁ、次。
これは書かれている文字を読めばわかるんじゃないでしょうか?
書かれている文字は「うどん」「そばきり」。
そう、答えはうどん屋さんでした。麺を提供するお店だけに、看板も麺をイメージしたヒラヒラがついています。
とてもユニークでステキな看板なんですが、『守貞謾稿』によりますと三都(江戸・京・大坂)および全国あちこちでうどん屋でこの看板を使っていたのは江戸時代中期頃まで。江戸時代後期には三都では見かけなくなってしまったんだとか。
ここからちょっと難しくなりますよ。
これ、なんの看板だ?
金棒を持った赤鬼の看板です。え? 金物屋さんとか??
と、思ったらなんと、正解は薬屋さんの看板でした。よく見ると赤鬼のお腹に「はらいたのくすり」と書いてあります。
江戸時代、病気を鬼にたとえることが多かったそうなので、鬼(病気)を退治するほど強力な薬、という意味か、はたまた、この薬さえあれば鬼に金棒! という意味か……どっちでしょうね。
次は難しいクイズ。
これ、なんの看板だ?
タコです。全長2mほどもある巨大で真っ赤なタコの看板です。これはスゴイ。デカすぎる。
ストレートに考えるなら、魚屋さん? とも思いますが、残念違います。
答えは……凧屋さん。
タコはタコでもこっちのタコ。
凧なだけに看板もタコなわけです。はい、駄洒落です。すごいくだらないですが、このくだらなさがいい。
この巨大タコ看板は江戸限定、しかも冬から初春までのシーズン限定もの。きっとタコ看板の登場を待ち遠しく思っていた人たちもいたことでしょう。
では次。これ、なんの看板だ?
弓矢ですね。ストレートに考えれば弓道グッズのお店かな、と思いますがぜんぜん違います。
答えは……お風呂屋さんの看板でした。
「お風呂屋さんと弓矢、ぜんぜんカンケーないじゃん!」と思っても、これは駄洒落。どんな駄洒落かというと「弓を射る……ゆをいる……ゆいる……湯入る」という具合。もはや酔っ払った親戚のおじさんのたわごとを聞いているみたいで、われわれ現代人はお手上げです。
このユニークなお風呂屋さんの看板ですが、残念なことに江戸時代後期には「懐かしいもの」となっていたようです(たまーに地方にはあったらしい)。ちなみに現代でもこのステキな看板を使っている銭湯があるそうです。老舗銭湯に行くときには看板をチェックしてみましょう!
次も難問。
もはや想像もつかない。前衛的な照明のようにも見えてきます。
なんのお店の看板かといいますと……質屋さんの看板です。
説明しますと、上の茶色い丸いのが「月」を、下の黒いヒモが「質流れ」を表しているそうで、丸いのが3つ重なっている、つまり、「三ヶ月で質流れ」という意味になります。
江戸時代の人たちはこれで「お、ここは質屋か」とわかったわけですからね。おもしろいものです。
余談ですが質屋の看板にはこんなものをモチーフにした看板もありました。これ。
将棋のコマです。
正確には「歩」のコマなどです。どういうことかと説明しますと、「敵陣に入ると金になる」つまり「店に入れば金(カネ)になる」ということ。洒落が効いています。