今日のおかずはこれで決まり!「倹約おかず番付」
タイトルは「日々徳用倹約料理角力取組」。つまり「毎日の倹約おかずランキング」。
行司を務めるおかずはなにかと見てみますと……たくあん漬け、ぬかみそ漬け、梅干、ラッキョウなど漬物がズラリ。世話役には、でんぶや唐辛子などの名が並びます。勧進元(興行主催者)とその補佐役である差添(さしぞえ)は、味噌・塩・しょうゆの三大調味料。さすがの貫禄。
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年寄は、かつおぶし、塩辛、佃煮、ごま塩の4品が務めています。おかず番付の趣向は凝っていて、番付の「東西」分けが「精進料理」と「魚料理」の分けかたになっていてそれぞれでランキングされています。
庶民がどんなものを食べていたのかがわかる非常に興味深いランキングなのでちょっと細かく見ていきましょう。
第3位「小結」
- 精進料理…きんぴら
- 魚料理…芝えびからいり
おー!現代人にもおなじみ「きんぴら」が第3位に登場しました。きんぴら、やるな。「芝えびからいり」はどんなものかといいますと、芝えびをサッと炒めてしょうりで味付けしたもの。現代人からしたら倹約おかずどころか贅沢おかずです。
続いて、第2位「関脇」
- 精進料理…こぶあぶらげ
- 魚料理…むきみ切ぼし
んん?
どちらもパッと見ではイメージがわかない。「こぶあぶらげ」は昆布と油揚げの煮物です。おばあちゃんの家に行くと出てきたりします。「むきみ切ぼし」はアサリなど貝の剥き身を切り干し大根と煮たものです。おいしそう。
第1位「大関」を発表!
- 精進料理…八杯豆腐
- 魚料理…めざしいわし
1位がいよいよ聞きなれないおかずでちょっと困惑。「八杯豆腐」とは、水6酒1醤油1の割合で煮た豆腐に大根おろしを乗せたもの。簡単でおいしいと大人気でした。めざしは今も昔も庶民の食卓で重宝されていたんですね。栄養価も高いですし納得の1位です。
ちなみに「前頭」以下は次のようなランキングです。
- 精進料理…煮豆、焼豆腐吸したじ(焼き豆腐のすまし汁)、ひじきの白和え、切り干し煮つけなど
- 魚料理…鮪から汁(鮪の赤身の味噌汁)、こはだだいこん、たたみいわし、いわし塩焼きなど
とまあ、こんなおかずが江戸の庶民に愛されていたのですが、今も食卓にのぼるおかずがチラホラあるのがおもしろいですね。
食べることが大好きだった江戸っ子。見立番付もグルメ関係がたくさんありました。たとえば……
これは江戸にあるお菓子屋さんのランキング。
200店以上が掲載されています。ゴーフルなどのお菓子で有名な上野風月堂も西の小結(第3位)にランクインしています。
こちらは鰻屋さんだけのランキング。
およそ200軒の鰻屋が掲載されていますが、実際にはこれ以上の鰻屋があったといいます。江戸の町は鰻屋だらけですね。