店でなく屋台でつまむ。江戸っ子流、粋な寿司の食べ方
寿司を食べる時、現在のようにイスに座って食べるようになったのは戦後だといわれています。
江戸時代はといいますと、「屋台でお寿司」が主流でした。
江戸前の握り寿司が誕生した当初は岡持ちに入れて売り歩いていたそうですが、やがて屋台が登場、気軽に立ち寄れて注文するとすぐに出てサッと食べてすぐ帰る、という屋台のスタイルはせっかちな江戸っ子気質にマッチしたようで、粋な食べ方として庶民に広まりました。
安くて気軽な屋台の寿司はいわば「江戸のファストフード」といったところだったのでしょう。
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庶民におなじみだった屋台寿司
江戸時代後期の屋台の寿司屋を撮影した写真。場所は隅田川沿いの向島。お客であろう人物が腰掛けているのが見えます。
お祭り騒ぎにも登場
これは「二十六夜待」という江戸時代の月見行事のにぎわいを描いた浮世絵です。
この行事の時になると月の名所には数多くの屋台が立ち並び、寿司の屋台ももちろん登場しました。職人が握った寿司が木箱のなかに並べられて売られているのがわかります。
屋台の寿司屋が庶民のためのものなら、店舗の寿司屋はより高級感を求めるお客のために誕生したといわれています。また、現在の料亭につながる「料理茶屋」などでも寿司がお客に提供されていました。
高値の華の高級寿司店
江戸前握り寿司の発祥店ともいわれる江戸深川の「松のすし」は超がつくほどの高級店としてその名を知られていました。
この絵は当時の人気役者をメインに背後に有名店とそこの料理を描いたシリーズのひとつですが、描かれているのが「松のすし」です。
松のすしでは握り寿司と押し鮨のどちらも売られていたそうですが非常に高価で、利用したのはもっぱら幕府高官とか豪商などエグゼクティブだけだったとか。
今では“ごちそう”のイメージが強い握り寿司ですが、庶民にとってはファストフード感覚だった江戸時代を考えると、手軽で安い回転寿司が台頭してきたこともなんだか納得してしまう気がしますね。
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