江戸時代の照明は豆電球くらいの明るさ!? 電気もなく庶民はどうやって夜を過ごした?

  このエントリーをはてなブックマークに追加

電気もガスもなかった江戸時代。庶民は灯りをともすために利用した意外なものとは?また、いまとは違う歌舞伎の芝居小屋における照明事情なども紹介。

蝋燭(ろうそく)誕生以前、照明の燃料にしていたのは?


『東都名所』「新吉原」(歌川国芳 画)
(『東都名所』「新吉原」歌川国芳 画)
電気やガスはもちろんランプもまだなかった江戸時代日が沈むと辺りは闇に包まれ、月光の明るさは今では想像できないほどでした。

日本における最初の灯りはこちら。

丸清版『隷書東海道五十三』「箱根 夜中松明とり」(歌川広重 画)
(丸清版『隷書東海道五十三』「箱根 夜中松明とり」歌川広重 画)夜の箱根山を越えようとする旅人。照明にしているのは松明です
松明やかがり火

江戸時代にも松明は使われていました。


昔の照明といえば蝋燭(ろうそく)ですが、仏教伝来とともに日本にもたらされたといわれ、奈良・平安時代には宮中や寺院といった特別な場所で使われていました。当時はすべて輸入品で一般にはなじみがない代物です。

時代が下り、室町時代後期に蝋燭が国産されるようになりましたが、まだまだ広く普及するにはいたりませんでした。

そんな時代、燃料として人々が使ったのが植物や動物の油を利用した「灯油」でした。これ、「とうゆ」ではなく「ともしあぶら」と読みます。

どんな油を使ったかといいますと、

  • 胡麻油
  • えごま油
  • 菜種油
  • 綿実油

まずは植物系の油。

このあたりは今でも食用油としておなじみですが、現代人びっくりなのが動物系の油。たとえば、

鰯(いわし)
(いわし)。

たしかに脂たっぷり。
ほかには

鯨(くじら)
(くじら)。

鯨ベーコン、たしかに脂たっぷり。

ほかに秋刀魚(さんま)なども使われたとか。これら動物系油は「魚油(ぎょゆ)」といいます。

江戸時代に広まった菜種油はにおいも少なく明るいということで大評判だったのですが、いかんせん高かった。

たとえば江戸時代後期の文化期(1804~18)、菜種油1升(1.8ℓ)の値段は400文、現代の金額でおよそ8000円。米の値段の2~4倍ほどだったというから超高級品です。

利用できたのは武家や、遊郭をはじめとする接客業など一部の人々だけでした。ちなみに植物油は灯油以外に、調理や整髪などにも利用されました。

江戸時代の油売り(『北斎漫画』葛飾北斎 画)
(『北斎漫画』葛飾北斎 画)
江戸時代の油売り。客の求める量をひしゃくを使って容器に入れる量り売りでした

一方、魚油の値段は菜種油の半分ほどと安く、庶民はこちらを利用しました。ただ、大きなデメリットが2つ。

  1. 魚くさくなる
  2. 煤(すす)がたくさんでる

明るくするたびに魚臭くなるのは、ちとツライ。ですが、庶民にとっては貴重な燃料でたいせつに使いました。

余談ですが、ご家庭によくあるシーチキンの缶詰。シーチキンの油も魚油なので、缶詰に穴を開けて綿のヒモなどを灯芯(とうしん)にし、火をつければ即席ランプが完成します。警視庁オススメの災害時に使える裏技です。


  このエントリーをはてなブックマークに追加

江戸のおもしろトリビアを配信中

江戸ブログ 最新記事

江戸時代の潮干狩りは男女の出会いの場! 高級食材が沢山獲れた昔の潮干狩りって?
春から初夏にかけてシーズンを迎える潮干狩り。お宝探しみたいで、大人も夢中になっちゃいます。春の大人気レジャーとして江戸時代の人々をワクワクさせた潮干狩りについてご紹介します。
2017-03-29 07:24:52
なせばなる! 復興に捧げた名君・上杉鷹山の生涯は波乱万丈だった
有名な「なせば成る」という格言。この生みの親こそ、史上屈指の名君といわれる上杉鷹山。今回は波乱と愛に満ちた鷹山公の改革の生涯をご紹介します。
2017-03-28 12:24:27
吉原に春だけ現われる桜の木 !? 江戸時代の花見は現代以上の大イベントだった!
江戸時代の人々は現代人以上にお花見を満喫していた!お花見スポット、花見弁当、桜餅、コスプレ、花見用の晴れ着などなど。今回は江戸のお花見事情を紹介します!
2017-03-26 14:49:05
【長屋に住むのは36歳未亡人】江戸下町を再現した深川江戸資料館のこだわりが半端ない
東京都江東区にある深川江戸資料館。そこは、知る人ぞ知るこだわりすぎの資料館。江戸時代の下町を完全再現した深川江戸資料館のここが凄い!を紹介します
2017-03-25 19:14:28
もとは女子の祭りじゃない!? ひな祭りの由来が意外と知らないことだらけ
あの暴れん坊将軍・吉宗が江戸時代のひな人形について意外な命令を出していた!?ひな祭りの由来や歴史を徹底紹介します!
2017-03-03 11:10:12
徳川歴代将軍を全員紹介!教科書に載ってないエピソードこそ面白かった【覚え方も】
265年続いた戸時代。歴代将軍15人の興味ぶかいエピソード、略歴、性格、評価、死因などをまとめてみました。これを読めば将軍がもっと好きになること間違いなし!
2017-02-17 11:15:25
【画像あり】まるでクイズ! 江戸時代の看板は駄洒落系からユニーク系までバラエティ豊か
テレビもWEBもない江戸時代、商品をアピールする一番の広告媒体は看板でした。大消費地・江戸を中心に花開いたユニークな看板の世界をご紹介します。
2017-02-03 20:49:29
江戸時代の節分は12月!今とは違う驚きの豆まき風習とは
「鬼は〜外、福は〜内」のかけ声とともに豆をまく節分。江戸時代は、節分の時期や豆まきの仕方など現在と違うところもありました。2月3日の節分についてご紹介します。
2017-02-02 14:22:48
【250年前のアイドル】笠森お仙が人気絶頂のなか突然消えた理由とは?
江戸時代に江戸中の男性を夢中にさせた女性がいました。その名は「お仙」。現代のトップアイドル顔負けの人気を誇ったお仙とはどんな女性だったのかご紹介します。
2017-01-22 13:30:47
アイデア豊富! 有名絵師たちの春画が時代を先取りしすぎている【64作品】
北斎や歌麿など世界的絵師たちも手がけた春画。近年では展覧会も大盛況ですが、なかには時代を先取りする驚くような作品も。今回は淫靡なれど美しく、そしてちょっと笑えるカオスな春画を多数ご紹介します。
2017-01-20 12:05:32

日本の歴史をもっと身近に。

戦国ガイド
戦国時代の大名・武将の名言や画、子孫など
戦国記事のみ掲載している特集ブログ
【おすすめ】戦国時代の家紋を一挙紹介
江戸ガイド
江戸時代の将軍/大名/文化人の名言や画、子孫など
★いまココ★ 江戸時代をもっと楽しめる特集ブログ
幕末ガイド
日本最大級の幕末サイト!
幕末をもっと楽しめる特集ブログ
明治ガイド
明治時代のみを扱ったレアなサイト
【おすすめ】明治の著名人が残した名言
大正ガイド
どこか懐かしく新しい時代、大正を知ろう!
【おすすめ】芥川龍之介、竹久夢二、宮沢賢治など大正の偉人を一挙紹介
昭和ガイド
昭和の芸能人やスポーツ選手、芸術家の名言や子孫など
【おすすめ】昭和の有名人が残した心に残る名言。その数、1,000以上

コメント

  1. “シーチキンの油も魚油なので、缶詰に穴を開けて綿のヒモなどを灯芯(とうしん)にし、火をつければ即席ランプが完成します”

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

トラックバックURL