ライターがない江戸時代の火の起こし方
蝋燭の登場についてご紹介する前に、江戸時代の火の起こし方について。
今はライターなどがありますが、江戸時代にはありません。古来、日本では火を起こす方法として次の2種類がありました。
- 木などをすり合わせて摩擦熱で火をつくる「摩擦式」…
- 石に金属を打ちつけた時に発生する火花を利用した「打撃発火式」
「摩擦式」は縄文時代の火起こし体験などで見る、木の棒をくるくる回転させるアレ。火が起きるまでかなり時間がかかりました。
「打撃発火式」はそれに比べれば早く火が起こせたので、江戸時代にはこちらが普及していたそうです。
スポンサーリンク
いざ火を起こそうとなった時に用意するのは、
火打石。瑪瑙(めのう)、石英、黒曜石など硬度の高い石が使われました。写真は瑪瑙です。
火打ち金。火花を発生させるための鋼鉄製の金属片。「火打ち鎌」とも。
火口(ほくち)。火花を受け火種にするためのもので、綿やガマの穂など燃焼性の高いものが使われました。
附木(つけき)。木っ端に硫黄(いおう)などを塗ったもので、簡単にいうと江戸版マッチ。
火の起こし方は、
なんかとってもたいへんそうですが、だいたい30秒ほどで着火できたそうです。
ちなみに、時代劇などで「おまえさん、いってらっしゃい」と奥さんが旦那さんの背後で火打石をカチカチやっているシーンがよくありますが、あれは厄除けのおまじないの一種。「切り火」といいます。
火口を使わないので発火する心配はありません。今でも芸者さんや落語家、下町の大工さんなど伝統を重んじる職業の人々は、出かける前にカチカチやっているそうです。