夜道を照らした街灯、そしてガス灯の登場
蝋燭の明かりは暗い夜道も照らしました。今でいう街灯の走りですね。
東海道五十三次のひとつ掛川宿を描いたもの。橋の手前に木製の常夜灯「木灯籠(きとうろう)」が2本見えます。信仰の地である秋葉山の入り口を示す灯りとして活躍したそうです。
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現代でいう東京都台東区浅草六丁目付近を描いたもの。江戸時代、このあたりは芝居小屋が集まる場所で、多くの人でにぎわっていました。満月が人々を照らし、夜道に影を落としています。
画面右側、店先にあるのは「掛行灯(かけあんどん)」という看板照明。こうしたものも夜道を照らす大切な灯りでした。防犯的な役割も担ったとか。
夜の海に欠かせないものもありました。
常夜灯。灯台の前身です。
描かれているのは現在の横須賀の海岸一帯で、海に突き出した岬に和式灯台「燈明台(とうみょうだい)」が建っています。建設されたのは1648年(慶安元年)と古く、燃料には魚油が使われ、夜間は燈台守が堂内に常駐していたそう。
さて、時代が江戸から、幕末、明治に変わると、照明の世界にも文明開化が訪れます。
1872年(明治5)、横浜で日本初となるガスを使った街灯「ガス灯」がともったのです。さらに、1882年(明治15)には銀座で電気を照明用に使った初めての街灯「電気街灯(アーク灯)」が明々と夜の町を照らし人々を驚かせました。
夜の道をガス灯や電気街灯が照らし、家のなかでもランプなどが使われるようになると、江戸時代の夜の暮らしを照らした灯りたちは姿を消していったのです。