ひな人形を求める客が殺到! ひな人形バザーは大にぎわい


江戸時代中期頃、ひな祭りが庶民に広まり盛り上がりを見せるなか、毎年2月下旬になると京や大坂、江戸をはじめ各地でひな人形を売る「雛市」が立つようになりました。

江戸市中でもあちこちに雛市が立ったのですが、なかでも有名だったのが十軒店(じっけんだな)。現代の中央区日本橋室町あたりです。

十軒店の雛市(『江戸名所図会』より)

こちらは江戸のガイドブック『江戸名所図会』に描かれた十軒店の雛市のようす。ひな人形を買い求める大勢の人でにぎわっています。

画像左奥に描かれているのは、ひな人形を扱う大型店舗。かなり立派なひな人形を売っているようです。ちょっと庶民は入りにくそう。

拡大してみてみましょう。

雛市でひな人形を選ぶ女性たち(『江戸名所図会』より)

いいところのお嬢さんがお母さんとお供の人でしょうか、3人で熱心にひな人形を選んでいます。「お母さま、これ買って❤︎」みたいな感じかと。

大型店舗の手前の大通りにもひな飾りを売る仮設店舗らしきものが見えます。

いったいなにを売っているのか気になりますよね。のぞいてみましょう。

雛市で売られている雪洞(ぼんぼり)や白酒の酒器(『江戸名所図会』より)

ひな飾りの定番アイテム、雪洞(読み:ぼんぼり)や白酒を入れる酒器などを売っているようです。

雛市で売られている屏風や婚礼道具(『江戸名所図会』より)

こっちには屏風や婚礼道具が並んでいます。ほかにも「立雛」と思しきひな人形も見えます。大型店舗よりリーズナブルなものを売っているのかもしれません。

ここに描かれているのは江戸時代後期のようすなのですが、どうやら江戸時代後期には現代のようなひな飾りアイテムがすでにそろっていたようです。

ちなみに、五人囃子や三人官女などもこの時代にはすでにありました。

三段飾りのひな人形(二代目喜多川歌麿 画)
立派な三段飾りのひな人形。2段目には五人囃子がチラッと見えてます(二代目喜多川歌麿 画)

雛市で売っているような立派なひな人形を買うことができない人々は、折り紙などでひな人形をつくって飾ったりもしたようです。

紙製の女雛と男雛(ひな祭り)

紙製の素朴な女雛と男雛。手描きの模様がとってもステキ。

折り紙のおひな様(ひな祭り)
こちらもかわいらしい折り紙のおひな様。ちゃんと顔も描いてあります。

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壮麗! 大奥のひな飾りは驚きの12段仕様


現代では居住スペースの問題もあって3段飾りや7段飾りのひな人形を用意するご家庭は減少傾向にあり、男雛と女雛だけの親王飾りとか、ケースに入ったものなどコンパクトなものが人気なようです(地域によりますが)。

が、それとは真逆、とにかく豪華絢爛だったのが江戸城大奥のひな飾りです。

江戸城大奥のひな祭り(『千代田之大奥』より「雛拝見」揚州周延 画)
『千代田之大奥』より「雛拝見」揚州周延 画
こちらが江戸城大奥のひな祭り。

江戸城大奥では3月1日から4日まで盛大にひな祭りのお祝いが行われたのですが、ご覧ください、ひな飾りの壮麗さを。なんと12段飾り。幅もめちゃくちゃ広そう。さすが将軍家という感じです。大奥女中たちも美しいひな飾りを見物しようと集まってきています。

ひな祭りには、将軍から正室である御台所や姫君にひな人形がプレゼントされたんだとか。ほかに、諸大名からおひな様にお供えする白酒やハマグリ、お菓子などがどっさり献上されたそう。

数千人の女性がいた“女の園”大奥だけに、ひな祭りは特別な盛り上がりがあったんじゃないでしょうか。

江戸で女性がたくさんいた場所といえば不夜城・吉原遊郭も同じですが、吉原では大々的なイベントは行われなかったようです。でも、遊女のなかには部屋にひな人形を飾る者もいたらしい。幸せをひな人形に祈ったのかもしれませんね。

立派なひな壇を出すには広いスペースが必要になるわけですから、狭い長屋では家具などを活用して仮設のひな壇にしたようです。

「内裏造営 押入れを 明けわたし」

なんて川柳があります。押入れの中身を移動させてひな壇にしたんでしょうね。

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