早朝から出発! カキやハマグリ、ヒラメなどの高級食材もゲット


先ほども登場した『東都歳事記』によれば江戸近郊の潮干狩りスポットは、芝浦・高輪・品川沖・佃沖・深川洲崎・中川沖。

品川にしても高輪にしても現代では大都会のど真ん中ですが、かつては江戸湾に面する潮干狩りのメッカだったんですね。

品川沖は潮干狩りの人気スポット(『江戸名所 品川汐干狩』二代歌川広重 画)
品川沖は潮干狩りの大人気スポット。お花見の名所としても知られ、春には大勢の人々でにぎわいました(『江戸名所 品川汐干狩』二代歌川広重 画)
「今日は潮干狩りに行こうぜ!」となったら、それは1日がかりの大イベントでした。

またまた登場、『東都歳事記』に潮干狩りのくわしいスケジュールがありますので、それによるとこんな感じ。

早朝から船に乗ってはるか沖合に出る。卯の刻(午前6時頃)すぎから潮が引きはじめ、午の刻(正午頃)には潮が引ききり陸地となる。船から下りていざ潮干狩りスタート。

という具合です。

潮が引くまでずっと船で待っている江戸人、とても気長だなあ。せわしない現代人なら一旦帰宅するレベルの待ち時間の長さ。江戸の人たちはどんなことして時間をつぶしていたんでしょうか。

潮干狩りのメッカ洲崎での潮干狩り風景(『東都三十六景 洲さき汐干狩』歌川広重 画)
潮干狩りのメッカ洲崎での潮干狩り風景。客を乗せてきた船があちこちに見えます(『東都三十六景 洲さき汐干狩』歌川広重 画)

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さて、潮干狩りといえばメインの獲物は今も昔もアサリ。現代だと養殖物などを事前に砂浜にばらまいておく、という潮干狩り場もありますが、江戸時代はもちろん天然物の江戸前アサリです。そりゃそうだろと当たり前な話なわけですが、現代人から見るとじつに贅沢。

ほかに現代では高級貝の代表格的なこんなものもたくさん獲れました。




ハマグリ

ハマグリ

今では気軽に買えるようなお値段ではないハマグリですが、江戸時代には江戸湾でもハマグリがたくさん獲れたのでむしろ“庶民の貝”だったんだとか。天ぷらの屋台でもハマグリの天ぷらが1串4文(約80〜100円)というリーズナブルな価格で売られていました。

またカキも潮干狩りでよく獲れたそう。江戸前のカキなんて名前だけで美味しそうです。

貝類だけではありません。浅瀬に残った小魚を捕まえることもありました。

運がよければ時にはこんな大物も。




ヒラメ

ヒラメ

砂のなかに隠れていたヒラメを、どこだどこだと足で探り出し捕まえたりしたそうで、潮干狩りを描いた浮世絵にもちょいちょいヒラメが登場します。

潮干狩りでヒラメを捕まえる男性(『東京名所四十八景 洲崎乃汐干』歌川一景 画)
男性が大きなヒラメを見事にゲット! 鮮度バツグン、絶対美味しい(『東京名所四十八景 洲崎乃汐干』歌川一景 画)
ぜんぜん関係ないんですが、上の浮世絵に気になる部分があるので拡大します。



潮干狩りの最中、股から顔を覗かせる男性(『東京名所四十八景 洲崎乃汐干』歌川一景 画)

こっち見んな!

話を戻します。

潮干狩りに夢中になっていたらいつの間にか潮が満ちはじめていて焦った、という経験をしたことのある人もいるでしょう。

江戸時代もそれは同じだったようで、「落かゝる 日に怖気だつ 汐干哉」(高井几董)なんて句もあります。

アサリにハマグリ、カキやヒラメなどをゲットしたら、さっそく獲れた海の幸を肴に宴会を開くこともありました。

潮干狩りで獲った貝などを鍋で調理する様子(『潮干狩』鳥文斎栄之 画)
わかりにくいんですが画像右端、女性が船の上で貝などを小鍋に入れて調理をしています(『潮干狩』鳥文斎栄之 画)
長屋の人々は潮干狩りでゲットした貝類などを隣近所に配ったりもしたようです。

楽しいうえに新鮮な海の幸をタダでゲットできるのですから、潮干狩りが人気を集めるのも大いにうなずけます。

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