就寝の時間となりました。寝る前に「お寝御召し」に着替えました。着替えもこれでようやくおしまいです。ちなみに、御台所の着物は打掛(うちかけ)から腰巻(下着のようなもの)まですべて大奥の女中たちに払い下げられました。
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将軍の大奥の寝所は「御小座敷」という部屋で、将軍からご指名があれば御台所も一緒に寝ましたが、主に側室と寝ることが多かったそう。
まぁ、正室である御台所とはいわば政略結婚ですし、公家の女性ということでなんとなく合わない部分もあったのかもしれません。
なお、側室と同衾する場合、ピロートークで人事や待遇などについて側室が将軍に“おねだり”することを防ぐため、監視役の御中臈が屏風1枚隔てた場所で寝ずに聞き耳を立てていました。御台所と同衾の際にはこの監視役はなかったそうです。
しかし、そういうものだとはいえ、自分の夫が近くの部屋でほかの側室と仲良く寝ているというのは心中穏やかならぬものがあったんじゃないでしょうか。こういった複雑な環境がドラマや小説の絶好のネタになるんですね。
最後に御台所のトイレ事情をご紹介。御台所のトイレは「万年」と呼ばれるもので、4畳ほどの畳敷きのお部屋でした。
万年はいわゆる“ぼっとん便所”で、地中深くに穴が掘られており大小便はここに落ちました。その深さは一説に18mほどもあったそう。
使用する御台所一代で同じ穴を使い続けたので、臭いは相当なもの。そのため、常に匂い消しのためお香が焚かれていました。そして、御台所が代わると古い穴は埋め、新しく穴を掘ったといいます。
御台所はトイレの時にも御中臈が付いてきて、用を足したあとお尻を拭くのもやってもらっていたそう。高貴なお方は庶民と感覚が違います。ちなみに、篤姫は武家出身だからか生理の時にはお供によるお尻拭きを拒んだそうです。
さて、これで御台所の1日はおしまいです。気楽なようなストレスがたまりそうな生活ですね。夫である将軍の1日についてもまとめていますのでこちらもどうぞ。
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