次は、白隠慧鶴(はくいんえかく)。
江戸時代中期の禅僧です。「500年に1人の英傑」と讃えられたスゴイお坊さんですが、禅の教えを説くために描いた絵が非常に個性的。たとえばこんな感じ。

バランス無視の問答無用さ

『半身達磨』通称「朱達磨」(白隠慧鶴 画)
『半身達磨』通称「朱達磨」 1764~69年
暗闇からヌっと現れたのはギョロ目の達磨大師。見る者の心を見透かすようなするどい眼光がインパクト大。写実性とはかけ離れた絵ですが、それだけに有無を言わせぬ迫力があります。大きさはなんと2m近くあるという巨大な絵で、80歳を超えてこれを描いたというから驚き。

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ちなみに左上には「直指人心(じきしにんしん) 見性成佛(けんしょうじょうぶつ)」という禅語が。おおまかな意味は「自分の心にこそ仏が宿り、それを自覚することで仏になる」。

キセルを吹いたらお多福が出た

布袋吹於福(白隠慧鶴 画)
『布袋吹於福(ほていすいおふく)』 18世紀後半
これまたじつにユニークな作品です。キセルを手にしたニコニコ(ニヤニヤ?)顔の布袋さまが煙を噴出すと……なんとお多福が出ました。お多福も今でいう「ぶちゃカワ」で愛嬌たっぷり。ちょっと解説しますと、この布袋さまは白隠さん自身だそう。お多福は白隠作品にしばしば登場するモチーフで、美醜の判断を超え人々に幸福をもたらす存在らしい。つまりこの絵には、人々の福寿を願う白隠さんの祈りが込められているのだとか。



次は喜多川歌麿
美人画で一世を風靡した浮世絵師で、海外ファンも多し。

なんだかポップ

当時全盛美人揃「玉屋内小紫」(喜多川歌麿 画)
『当時全盛美人揃』「玉屋内小紫」 1794年
ゆったりと構えた美しい遊女が色っぽいですね~。なんといっても色使いが絶妙。背景の黄色、着物の淡いピンクとちょっとくすんだ青、帯の渋い緑……すべてが合わさるとなんともポップな印象に。まるでポスターみたいです。



次は歌舞妓堂艶鏡(かぶきどうえんきょう)。
かなりマイナーな浮世絵師。それもそのはずで、活動期間はわずか1年、確認されている作品も7点のみという少なさ。なんだか写楽を彷彿とさせます。おもしろいのは写楽が消えた1年後に突如デビューし同じように消えたこと。写楽と同一人物では?なんて説もありました。では貴重な歌舞妓堂の役者絵をどうぞ。

とんでもなくイケメン

三代目市川八百蔵の梅王丸(歌舞妓堂艶鏡 画)
『三代目市川八百蔵の梅王丸』 1795~96年
こんな現代に通じるイケメン浮世絵、見たことありません。ポーズもかっちょいい! 昭和の銀幕スターのような正統派イケメンです。描かれているのは名作歌舞伎『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』に登場する梅王丸を演じる三代目市川八百蔵。



イケメン浮世絵つながりで、次は歌川国政(くにまさ)。
江戸時代後期に活躍した浮世絵師ですがこちらもマイナー系。ものすごい傑作を描いたかと思えば凡作も多い“ムラ”の多い絵師。

八百蔵はイケメン(確信)

三代目市川八百蔵の梅王丸(歌川国政 画)
『三代目市川八百蔵の梅王丸』 1796年
さきほどのイケメン浮世絵と匹敵するイケメンっぷり。じつは描かれているのは同じ人物。こちらの方がちょっとシャープで今時な感じ。赤と黒のコントラストもかっこいい。特に見得(みえ)を切るこの目!

大胆デザイン

『市川鰕蔵(えびぞう)、碓井荒太郎定光に扮しての暫(しばらく)』(歌川国政 画)
『市川鰕蔵(えびぞう)、碓井荒太郎定光に扮しての暫(しばらく)』 18世紀末
一瞬なにが描かれているかわからなくなりそうなほど大胆なデザイン。横顔の役者絵、という大胆さ。描かれているのは五代市川団十郎こと市川鰕蔵で、手前にあるのは市川家の定紋である「三枡文(みますもん)」をあしらった暫の衣装の袖。三枡文の直線的なデザインと、顔の隈取の曲線があいまって非常に躍動感があります。

流れる髪の色っぽさ

市川男女蔵〈みどりや松蔵の役か〉(歌川国政 画)
市川男女蔵〈みどりや松蔵の役か〉 18世紀末?
乱れ髪。着物の柄と髪の毛の流れの相乗効果で色気があります。描かれているのは歌舞伎役者の市川男女蔵(おめぞう)。

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