江戸時代に生まれた日本独自の機械時計――和時計
日本にもたらされた西洋時計を、日本の時計職人たちは「不定時法」に合うよう改良に改良を重ね、日本独自の機械時計「和時計」を生み出しました。
しかし、高価なうえにメンテナンスもたいへんだったため、実用品というよりは美術工芸品として発達していき、大名など特別な富裕層のみが所有しました。
今以上に時計はステータスを示す高級品だったのです。
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なお、日本で最初に時計をつくったのは「日本時計師の祖」といわれる津田助左衛門(つだすけざえもん)で、記録によれば徳川家康所有の時計を修理し、それを手本に新たに時計をつくり家康に献上したそうです。
日本で生まれ独自の発達を見せた和時計。ひとくちに「和時計」といってもさまざまな種類がありました。
江戸時代の時計を紹介していきます。
掛時計
江戸時代後期につくられた「振子円グラフ式文字盤掛時計」。
円グラフ式の文字盤は不定時法に対応してます。指針は内側の文字盤の下から自動的に出たり入ったりして1年をかけて長さが変わるようになっており、季節ごとの時刻を自動的に指す機構は非常に珍しいものです。
ひもの先についた錘(おもり)の重さが動力になっています。(セイコー時計資料館所蔵)
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櫓時計
江戸時代後期につくられた「二挺天符目覚付袴腰櫓時計(にちょうてんぷめざましつきはかまごしやぐらどけい)」。
掛時計と同じく錘が動力となっていますが、櫓時計の場合、錘は櫓のなかにあり外から見えないようになっています。
なんと目覚まし機能付き!さらに葵の御紋入り!!
尺時計
江戸時代後期につくられた「初期一挺天符尺時計」。
尺時計は掛時計から考案されたもので、錘(おもり)が指針になっているのが特徴。ものさしのような長い板が文字盤になっていて、下りてきた錘の指す場所で時間がわかりました。
垂揺球儀(すいようきゅうぎ)
かなり正確に時間を計ることができたといわれる精密時計。
天文観測などに使われ、地図をつくったことで知られる測量家・伊能忠敬も天文観測に使用しました。(伊能忠敬記念館所蔵)