庶民はどのように時を知ったのか?
江戸時代、時計は誰もが持っていたわけではありません。大名や豪商など一部の特権階級だけのぜいたく品でした。
では、庶民はどのように時間を知ったのかといいますと、江戸市中の数箇所に設置された「時の鐘」が鳴らす鐘の音です。
時の鐘は、まず時間お知らせの事前通知として「捨て鐘」を3つ打って注意を引き、それからそれぞれの刻限の数だけ鐘を鳴らしました。
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こうして庶民は町に鳴り響く鐘の音で時間を共有していたのです。ちなみに、江戸にあった時の鐘で最古のものは、1626年(寛永3)に日本橋本石町につくられた「石町の鐘」といわれています。
川越のシンボルとなった時の鐘
埼玉県の川越市は「小江戸」と呼ばれる情緒ある町並みで有名ですが、川越のシンボルが「時の鐘」です。
今から400年ほど前の江戸時代初期に、川越藩2代藩主・酒井忠勝によって創建されたといわれます。火災などによりたびたび建て替えられましたが、江戸時代を通じて川越の人々に時間を知らせ続けました。
時の鐘のほか、庶民が時間を知る手段として利用していたものに「日時計」がありました。
持ち運びにも便利!
紙製の日時計は、時の鐘が聞こえない場所でも手軽に時間を知ることができ、旅行などに携帯されました。紙を水平に保ち、その月の短冊を垂直に立て、太陽に向けてできた影の長さで時間を読み取りました。(セイコー時計資料館所蔵)