細工見世物の新ジャンル「生人形」がリアルすぎて鳥肌もの


幕末になると細工見世物のなかに新たなジャンルが登場しました。

それが生人形(いきにんぎょう)。

生人形(松本喜三郎 作)
リアルさを極限まで追求したまるで生きているかのような人形が特徴。これは生人形の第一人者にして天才人形師・松本喜三郎の作品。このリアルさ。ちょっと怖いくらいです。

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もうひとつ、松本喜三郎の代表作「谷汲観音」をご紹介。こちらは喜三郎の出身地である熊本にある浄国寺というお寺に安置されています。

松本喜三郎の代表作「谷汲観音」

なめらかな肌の質感、優しげながら色っぽいまなざし、ほころんだ口からのぞく歯――人形とは思えないほどのリアルさと、人間では出せない神秘的な雰囲気が相まって見る者の心を揺さぶります。

こうしたリアルな人形を「生人形」と称して見世物にしたのも松本喜三郎といわれ、黒船来航の翌年の1854年(安政元年)に大坂で本格的にデビューし大評判を取ると、翌年、江戸に進出し話題騒然となりました。

その時に生人形として造形したのは「異国人」。といっても現代人がイメージする「外国人」とはぜんぜん別物でこんな感じ。

異国人の生人形(『観物画譜』より「浅草奥山生人形」)
『観物画譜』より「浅草奥山生人形」
手がめちゃくちゃ長い「手長」に、足がむちゃくちゃ長い「足長」という異国の人。人というか、もはや妖怪です。一説に、黒船来航による不安定な政情や人々の外国に対する不安感などが反映されているともいわれています。

この異国人のように、生人形は実際の人間ではなく、想像上のキャラクターや物語の登場人物、歴史上の偉人などを題材にしており、有名なシーンを何体もの人形で再現して観客に見せました。いわばジオラマです。

江戸時代の人々を魅了し明治時代に入っても高い人気を集めた生人形ですが、その多くは海外に流出してしまっているそうです。

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