犬は人間の子どもと同じと心得よ! これぞ江戸版『いぬのきもち』


<15作目>

『犬狗養畜伝』(暁鐘成 作)
『犬狗養畜伝(けんくようちくでん)』(1842年)
暁鐘成(あかつきかねなり) 作

画像引用元:西尾市岩瀬文庫
泰平の世を謳歌していた江戸時代後期、現代のようにペットブームがあり、猫や鳥、金魚、虫・・・・・・さまざまな生き物がペットとして人気を集めました。現在、猫と人気を二分する犬も江戸時代から人気ペットの筆頭でした。

ペットブームのなか、ペットの飼育書も多数出版されましたが、意外なことに犬の飼育書はこの『犬狗養畜伝』ただひとつ、といわれています。

作者の犬への愛情にあふれる本書には、飼い主の犬に対する心構えが随所に書かれています。「犬は人間の子どもと同じ。飼いにくくなったからといって山野に捨てたら可哀想だよ」

ペットを飼うことはひとつの命に責任を持つこと。時代は変われど飼い主の心得は変わらないようです。

ここがヒットのポイント!
エサのつくり方、適切なエサの与え方といった基本的な飼育法のほか、病気や寄生虫、ケガの治療法などが可愛らしい犬のイラスト入りでわかりやすく書かれているところ。愛犬家、必携の一冊。

遊女が犬を散歩中(花房重信 画)
遊女が犬を散歩中(花房重信 画)

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ワールドワイドな歴史的ロングセラー


<16作目>

『北斎漫画』(葛飾北斎 画)
『北斎漫画』(1814~78年)
葛飾北斎


江戸時代が生んだ天才絵師・葛飾北斎が、絵手本として出したスケッチ画集。北斎が55歳の時に初編が出版、90歳で北斎が亡くなり時代が江戸から明治に変わったあとも出版され続け、なんと初編出版から65年後にようやく完結したという超ロングセラーになりました。全15編の『北斎漫画』には、人物や動植物、風景、風俗、はたまた妖怪変化まで森羅万象を描いたおよそ4000以上ものスケッチが掲載されています。

ここがヒットのポイント!
天才・北斎の卓越した超絶デッサン力で描かれたイラストがすべて。繊細なタッチあり、ユーモラスなものあり、なんでもあり。北斎の魅力がギッシリ。

江戸時代の太った人の生態(『北斎漫画』 葛飾北斎 画)
太った人の生態を描いたもの。コロコロしていて癒し系ポッチャリです
今見ても新鮮さを感じる北斎のイラストは国内だけでなく海外でも大好評、江戸時代後期にヨーロッパへ渡ると、モネやゴッホらに大きな影響を与えたそうです。
ちなみに、『北斎漫画』には元ネタがありました。それが『北斎漫画』初編出版の20年前に出された北尾政美(鍬形蕙斎)の『略画式』です。「北斎ってマネばっかりする(怒)」と北尾政美はご立腹だったとも。

ちなみに、北斎については記事『【これが88歳の作品!?】葛飾北斎が老いてから描いた画が強烈すぎる【波の画だけじゃない】』で特集していますので、あわせてどうぞ!

75年間、毎年出版された川柳のバイブル


<17作目>

『誹風 柳多留』(柄井川柳 編纂 ほか)
『誹風 柳多留(はいふうやなぎだる)』(1765~1840年)
柄井川柳(からいせんりゅう) 編纂 ほか


五・七・五からなる「川柳」という新文芸を生んだ川柳の句集。江戸時代中期から幕末までなんと75年間毎年出版され、全167編にもなりました。掲載されている川柳のなかには耳にしたことのあるものもチラホラ。ちょっとご紹介。

「孝行の したい時分に 親はなし」
「役人の 子はにぎにぎを 能覚(よくおぼえ)」
「子が出来て 川の字形りに 寝る夫婦」

川柳には人々の風俗や常識、気持ちが反映されているので、江戸時代を知るための貴重な資料にもなっています。

ここがヒットのポイント!
句の評者や序文を絵師・葛飾北斎、『東海道中膝栗毛』の作者・十返舎一九らといった当代一流の文化人が担当。

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