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傘が広告!? 大店がはじめた斬新なサービス
現在、雨の日に無料で傘を貸し出す「レンタル傘」というサービスがあちこちで行われているのをご存知でしょうか?
不要な傘の再利用やエコの観点からも注目されているこのサービス、じつは江戸時代にもあったのです。
江戸時代、現在の三越の前身である越後屋をはじめとした大店では、急な雨が降り出した時に、お客や通行人に番傘をレンタルするサービス「貸し傘」を行っていました。
なぜ、大店がこぞってこんなサービスを行っていたか?
それは、傘に店の屋号などを書くことで、傘をさす人々が“歩く広告”になってくれたから。

橋の上にはにわか雨に降られた人々が駆け足で行き交う姿が。画像左の人物がさしている傘に注目。大きく屋号が書かれています。これはいい宣伝になる。(『絵本隅田川両岸一覧』より/葛飾北斎 画)
店側にとっていい宣伝になったのはもちろんですが、見栄っ張りの江戸っ子にとって、越後屋など大店の傘をさしていることはレンタル傘なれど一種のステータス。
現代でいうとハイブランドの紙袋を持ち歩く女性の心理に通じるものがあるかもしれません。それにしてもいつの時代も商売人のアイデアには感心してしまいます。
このサービスはかなり好評だったようで、「江戸中を 越後屋にして にじ(虹)がふき」なんて川柳も残っています。
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傘がないときはどうする?
傘が手元にない時は「てぬぐい」で急場をしのぎました。今でもハンカチやタオルを傘代わりにしますがそれと同じ。数百年前もやることは変わりません。
また、女性の場合は「御高祖頭巾(おこそずきん)」と呼ばれる四角い布で頭部をゆったり包む頭巾も雨よけとして利用されました。

豪雨の外出には完全防備で。画像右と中央の女性は傘にプラスして御高祖頭巾をかぶっています。画像左の男性はてぬぐいをプラス(『絵本四季花』より/喜多川歌麿 画)
以前、明治時代の美人特集で紹介しましたが、御高祖頭巾をかぶった女性はこんな感じです。


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