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江戸時代のシュールすぎる漫画「黄表紙」
黄表紙ってなに?
黄表紙とは18世紀後期に江戸で大流行した文芸ジャンルの一種。絵と文章で構成され、フキダシのようなものもある、いわば“大人の絵本、マンガ”。あちこちに仕込まれたダジャレや風刺など“遊び”の要素も黄表紙の特徴で、それを読み解くのも楽しみのひとつ。
さっそく黄表紙界を代表する大人気作家・山東京伝の作品からご紹介。解説は超訳+感想となっておりますのであしからず。
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モテ男になりたい! 金持ちブサメンのとんでも奮闘記
『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』
山東京伝 作/北尾政演 画(1785年)
~あらすじ~
主人公はブサメン・艶二郎(19歳)。団子鼻がチャームポイントで、金持ちのひとり息子。艶二郎の夢は「モテまくって世間の噂になりたい!」悪友2人を相談役に、金にものをいわせて色男になるため奮闘する艶二郎。果たして夢は叶うのか!?
主人公はブサメン・艶二郎(19歳)。団子鼻がチャームポイントで、金持ちのひとり息子。艶二郎の夢は「モテまくって世間の噂になりたい!」悪友2人を相談役に、金にものをいわせて色男になるため奮闘する艶二郎。果たして夢は叶うのか!?
上の画像は「歌に出てくる色男みたいにモテすぎて世間の噂になったら、ぼく、死んでもいいなぁ(ニヤニヤ)」などと妄想する艶二郎。なんか、こういう顔の人、知り合いにいる気がする。
色男になろう作戦1
恋人の名前を刺青しよう(注 恋人はいない)
悪友のアドバイスのまま、「実在しない彼女の名前を刺青して、なおかつ違う女性から嫉妬されたので、その刺青を消し込む」というハイレベル過ぎる設定で、親にもらった身体を痛めつける艶二郎。
繰り返しますが、元カノも今カノも実在しません。画像は、灸をすえて刺青を消す艶二郎。「うぅ、痛いよぅ。色男になるのもつらいね」
色男になろう作戦2
金で熱狂的なファンを買おう
色男には熱狂的ファンが付き物ということで、近所の町芸者に50両(約500万円)を渡して熱狂ファンを演じてもらうことに。家に押しかけてきた艶二郎ファンを名乗る女性(サクラだけど)に家族は仰天。
番頭(画面右)などは「ブサイクな若旦那にファン!?あなた家を間違えてない?」と不信感たっぷり。当の艶二郎は「まいったなあ」とデレデレ。自分でやらせてるんだけどね!
色男になろう作戦3
金で三角関係を演出
色男といったらヤキモチやく女だよね!ということで、今度は200両(約2,000万円)で女性を妾にした艶二郎。本命の遊女のところから帰ってくると、妾の女性は練習していたヤキモチセリフをまくしたてる。
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これには艶二郎、大満足。艶二郎「欲しいって言ってた着物買ってあげるからもっとヤキモチ焼いてよ~」女性「続きは着物をもらってからね」。女性の現金さがなんともすがすがしい。
色男になろう作戦4
心中を演出
色男の究極のラストは心中だよね!でもホントに死ぬのはイヤだよね!ということで艶二郎、狂言心中(つまりヤラセ)をやることに。本命の遊女を言いくるめ、大金をはたいて身請(みうけ/遊郭から自由にすること)し、いざ心中。というところで、泥棒に身包みはがれて2人はすっぽんぽん。
なお、この泥棒の正体は艶二郎を改心させようとした父親と番頭。こいつはとんだ茶番だぜ。
結局、色男にはなれなかった艶二郎ですが、すっかり懲りて改心する、というラスト。心中ごっこに付き合ってくれた元遊女と結婚もできたし一応、ハッピーエンド。また、この物語は艶二郎が「オレみたいになるなよ!」という思いから作家の山東京伝に依頼して作品にしてもらった、というオチになってます。
ちなみに、この作品の挿絵を手がけている「北尾政演」とは山東京伝の別ペンネーム。京伝は多才です。主人公の艶二郎はハチャメチャだけどどこか憎めないキャラクターが受け、「うぬぼれ男」の代名詞となり人気者になりました。
また、艶二郎の団子鼻は「京伝鼻」とも呼ばれました。作者の山東京伝はこの団子鼻がお気に入りだったらしく、自分でデザインした手ぬぐいにもこの通り登場させてます。
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