不景気の末、千手観音が始めたのは千本の手のレンタル!?
『大悲千禄本(だいひのせんろくほん)』
芝全交 作/北尾政演(山東京伝)画(1785)
~あらすじ~
千本の手で衆生を救う千手観音さま。しかし、観音さまも不景気には勝てず、「面皮千兵衛(つらのかわせんべえ)」というあからさまにインチキ臭い自称実業家の口車に乗せられ新商売を始めることに。それはなんと、千本の手を切り離して格安でレンタルするというもの。
千本の手で衆生を救う千手観音さま。しかし、観音さまも不景気には勝てず、「面皮千兵衛(つらのかわせんべえ)」というあからさまにインチキ臭い自称実業家の口車に乗せられ新商売を始めることに。それはなんと、千本の手を切り離して格安でレンタルするというもの。
上の画像は、観音さまの手がレンタルできるという話を聞きつけ大勢の客が押し寄せている様子。客を惹きつけるテクニック(手)がない遊女、文字(筆跡を「手」という)を書けない人。ほかにも時代を超えてやってきた片腕の武将の霊や、片腕を切り落とされた昔話の鬼など客の顔ぶれは多種多様。
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よく見ると、「観音さまの手なので、しらみをつぶしたり、卑猥なことに使わないで」との注意事項も。
さて、観音さまの手をレンタルした人のようすを見てみましょう。これは文字の書けない人の場合。さっそく手紙を書いてみようとしたのだが、観音さまの手だけあって梵字しか書けない…。「役立たねー。でも、せっかく借りたしな」ということで、
爪に火をともしてロウソク代わりに。手「あついよ~あついよ~」と言ってます。燃やしちゃダメ。
ラストは「今から鬼退治に行くんだけど、千本の矢を放ちたいから千本ぜんぶレンタルさせて」という坂上田村麻呂がご来店。ほかの人に貸していた手を急いで返してもらい、田村麻呂に貸してあげておしまい。
すごい世界観。ある意味、日本人のおおらかな宗教観のなせるところなのかもしれませんね。
さぁ、いよいよ最後の作品。こちらはなんとまさかのSFです。
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