蕎麦つゆが味噌 !? 江戸時代の蕎麦事情が想像とだいぶ違う【今は見ない屋台売りも】

  このエントリーをはてなブックマークに追加

江戸時代から親しまれたお蕎麦ですが、その食べ方やお店のスタイルなどは現代とかなり異なるものでした。また、今でも有名な蕎麦屋の元祖もあわせて紹介します。

蕎麦を食べる江戸時代のご隠居(『東海道五十三次』「見附」葛飾北斎)
(『東海道五十三次』「見附」葛飾北斎 画)
ご隠居がおいしそうな蕎麦を食べています。長い。手には蕎麦猪口のようなものも見えます。蕎麦はお皿に盛られているようです。

現在、「東京は蕎麦、大阪・京都はうどん」というイメージが強いですが、はたして江戸時代はどうだったのでしょうか?

意外!江戸っ子も最初は蕎麦よりうどん派?


江戸時代末期の風俗を記した随筆『守貞謾稿(もりさだまんこう)』によりますと、「京や大坂ではうどんを好む人が多いが、江戸では蕎麦を好む人が多い」とあり、現在のイメージがすでに確立していたことがわかります。


しかし、江戸時代も前半にさかのぼると、じつは江戸でも蕎麦よりうどんが主流だったのです。蕎麦も食べられていましたが、あくまでうどん屋がうどんを売る傍らで蕎麦を売っている程度でした。

ちなみに、蕎麦が日本で食べられるようになったのは奈良時代頃からといわれます。現在、私たちが「蕎麦」というとズズッとすする麺状のものをイメージしますが、じつはこの麺状の蕎麦が食べられるようになったのは江戸時代初期かそれより少し前のことといわれています。それ以前、「蕎麦」といえば、今でいう「蕎麦がき」を指しました。

蕎麦がきの写真(蕎麦粉を湯で練って団子状にしたもの)
蕎麦粉を湯で練って団子状にしたものが「蕎麦がき」。現在でも通に人気。[引用元]
この「蕎麦がき」に対して麺状の蕎麦は「蕎麦きり」と呼ばれました。やがて「蕎麦きり」の方が主流となり、「蕎麦」といえば「蕎麦きり」を指すようになったのです。さらに麺状の蕎麦は江戸時代初期から中期にかけ製法に工夫が加えられ、小麦粉を“つなぎ”にするようになりました。

今でもよく耳にする「二八蕎麦」というのは「小麦粉2の蕎麦粉8の蕎麦」を意味します。一方、江戸時代後期には蕎麦1杯が16文(約320円)だったことから2×8=16の符丁だったともいわれています。

しかし、「二八蕎麦」という言葉自体は江戸時代後期以前からあったこと、蕎麦粉と小麦粉の配合も現在と異なっていたこと、「二八うどん」という言葉もあることなどから、江戸時代に使われていた「二八」の語源と意味については現在も謎が多く諸説あります。

江戸時代の蕎麦屋の屋台(『鬼あざみ清吉』歌川豊国)
(『鬼あざみ清吉』歌川豊国)
浮世絵にも蕎麦はたびたび登場。画面左は蕎麦屋の屋台。看板に「二八」の文字が大きく書かれているのが見えます。

話しを戻して江戸の蕎麦VSうどんについて。

江戸において蕎麦が勢力を逆転させたのは、18世紀中頃からだといわれています。1751年(寛延4)には蕎麦の製法や蕎麦屋の活況を記した『蕎麦全書』なる蕎麦専門書も刊行されていることや、1776年(安永5)に刊行された黄表紙(大人向け絵本)『うどんそば化物大江山』に「江戸八百八町(はっぴゃくやちょう)に蕎麦屋は数え切れないくらいあるが、うどん屋は万に一」とあることからも当時の蕎麦屋優勢がうかがえます。

こうして蕎麦は江戸で勢力を拡大していき、江戸時代末期には江戸市中の蕎麦屋は3760店を数えたといいます。これは現在の東京の蕎麦屋店舗数よりも多いです(2014年、東京都の蕎麦屋店舗数は3200軒)。江戸のあちこちに蕎麦屋があったことが想像できます。


  このエントリーをはてなブックマークに追加

江戸のおもしろトリビアを配信中

江戸ブログ 最新記事

江戸時代の潮干狩りは男女の出会いの場! 高級食材が沢山獲れた昔の潮干狩りって?
春から初夏にかけてシーズンを迎える潮干狩り。お宝探しみたいで、大人も夢中になっちゃいます。春の大人気レジャーとして江戸時代の人々をワクワクさせた潮干狩りについてご紹介します。
2017-03-29 07:24:52
なせばなる! 復興に捧げた名君・上杉鷹山の生涯は波乱万丈だった
有名な「なせば成る」という格言。この生みの親こそ、史上屈指の名君といわれる上杉鷹山。今回は波乱と愛に満ちた鷹山公の改革の生涯をご紹介します。
2017-03-28 12:24:27
吉原に春だけ現われる桜の木 !? 江戸時代の花見は現代以上の大イベントだった!
江戸時代の人々は現代人以上にお花見を満喫していた!お花見スポット、花見弁当、桜餅、コスプレ、花見用の晴れ着などなど。今回は江戸のお花見事情を紹介します!
2017-03-26 14:49:05
【長屋に住むのは36歳未亡人】江戸下町を再現した深川江戸資料館のこだわりが半端ない
東京都江東区にある深川江戸資料館。そこは、知る人ぞ知るこだわりすぎの資料館。江戸時代の下町を完全再現した深川江戸資料館のここが凄い!を紹介します
2017-03-25 19:14:28
もとは女子の祭りじゃない!? ひな祭りの由来が意外と知らないことだらけ
あの暴れん坊将軍・吉宗が江戸時代のひな人形について意外な命令を出していた!?ひな祭りの由来や歴史を徹底紹介します!
2017-03-03 11:10:12
徳川歴代将軍を全員紹介!教科書に載ってないエピソードこそ面白かった【覚え方も】
265年続いた戸時代。歴代将軍15人の興味ぶかいエピソード、略歴、性格、評価、死因などをまとめてみました。これを読めば将軍がもっと好きになること間違いなし!
2017-02-17 11:15:25
【画像あり】まるでクイズ! 江戸時代の看板は駄洒落系からユニーク系までバラエティ豊か
テレビもWEBもない江戸時代、商品をアピールする一番の広告媒体は看板でした。大消費地・江戸を中心に花開いたユニークな看板の世界をご紹介します。
2017-02-03 20:49:29
江戸時代の節分は12月!今とは違う驚きの豆まき風習とは
「鬼は〜外、福は〜内」のかけ声とともに豆をまく節分。江戸時代は、節分の時期や豆まきの仕方など現在と違うところもありました。2月3日の節分についてご紹介します。
2017-02-02 14:22:48
【250年前のアイドル】笠森お仙が人気絶頂のなか突然消えた理由とは?
江戸時代に江戸中の男性を夢中にさせた女性がいました。その名は「お仙」。現代のトップアイドル顔負けの人気を誇ったお仙とはどんな女性だったのかご紹介します。
2017-01-22 13:30:47
アイデア豊富! 有名絵師たちの春画が時代を先取りしすぎている【64作品】
北斎や歌麿など世界的絵師たちも手がけた春画。近年では展覧会も大盛況ですが、なかには時代を先取りする驚くような作品も。今回は淫靡なれど美しく、そしてちょっと笑えるカオスな春画を多数ご紹介します。
2017-01-20 12:05:32

日本の歴史をもっと身近に。

戦国ガイド
戦国時代の大名・武将の名言や画、子孫など
戦国記事のみ掲載している特集ブログ
【おすすめ】戦国時代の家紋を一挙紹介
江戸ガイド
江戸時代の将軍/大名/文化人の名言や画、子孫など
★いまココ★ 江戸時代をもっと楽しめる特集ブログ
幕末ガイド
日本最大級の幕末サイト!
幕末をもっと楽しめる特集ブログ
明治ガイド
明治時代のみを扱ったレアなサイト
【おすすめ】明治の著名人が残した名言
大正ガイド
どこか懐かしく新しい時代、大正を知ろう!
【おすすめ】芥川龍之介、竹久夢二、宮沢賢治など大正の偉人を一挙紹介
昭和ガイド
昭和の芸能人やスポーツ選手、芸術家の名言や子孫など
【おすすめ】昭和の有名人が残した心に残る名言。その数、1,000以上

コメント

  1. “江戸時代初期の料理書『料理物語』には蕎麦つゆについても記述があり、それによれば「たれみそに大根の汁を加え、削り節、大根おろし、あさつきを入れ、さらに、からし、わさびを加えてもよい」とあります”

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

トラックバックURL