貴重な展示品にワクワク!
こちらの浮世絵を見てください。
中央に大きな箱があり、難しい顔をした男性が木の棒を振り上げています。手前にはなにやら興奮気味な大勢の人々が。これはまさに富くじ抽選会が行なわれているようすを描いたもの。「当たりは拙者でござる〜」「よろしくお願いします!」と大騒ぎ。
こちらに描かれた富突き道具の本物も展示されていました。
これらは江戸時代後期に実際に使われていたものです。
中央の木の箱が「富箱」。写真では見たことあったんですが実物を見ると大きさもかなりあり、ずっしりと重たそうです。目測ですが縦50㎝、横60㎝、幅40㎝くらい? みんなの夢が詰まってる感ありました。
上部に穴があり、ここに画像右の巨大な錐(きり)を突き入れました。この錐もかなりの長さで100㎝くらいはあったと思います。目測ですが。
画像手前にあるのが「富駒(とみこま)」という縦5㎝、横1㎝ほどの小さな木札。販売された「富札」と同じ番号が書いてあるこの富駒が富箱に入っており、先ほどの錐で刺すのです。実際の富駒には錐で突いた跡である穴のあるものもあり、(あー、この番号の人は当選したんだなぁ)と感慨深くなりました。
富箱もいろいろなタイプがあったようで、こんな回転式のものも展示されていました。
両側の出っ張りを軸にぐるぐる回して使ったようです。あれですね。年末なんかによく見る、ガラガラくじに似てますね。
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当たる「富札」は占いで選ぶ!?
さて富くじに参加するには抽選券である富札を購入しないことには始まりません。宝くじを宝くじ売り場で買うのと同じく、富札も富札売り場で買うことができました。購入できる場所は、富くじ興行が行われる寺社の門前にある茶屋のほか、「札屋(ふだや)」と呼ばれる富札専門店。
こちらは札屋の店先。女性の目線の先には興行地別に分類された富札がずらりと棚に並べられています。「茅場町」「福徳稲荷」「両国」などの文字が見えます。
現代の宝くじは1枚300円と気軽に購入できる値段ですが、江戸時代の富札は1枚の値段がものすごく高い。
場所によってばらつきはありますが、富札1枚のお値段が金1朱〜金2分だったそう。ざっくり1両=8万円で考えると富札1枚が1万円から2万円くらいしたわけで、庶民にとってはまず参加するだけでハードルが高い。
そのため、興行主や札屋は庶民が買いやすいように共同購入用の富札「割札(わりふだ)」をつくって販売することもありました。
また、札屋の店先ではある程度、富札の番号を選ぶことができたそう。富札そのものが高額ですから購入者は番号選びに必死になったことでしょう。
そこで、富札を買う吉兆を占う占い本なども出版されました。数字による占い「四目録」や夢を見た時間帯で買うべき富札番号を占う夢占い、富札を買うべき日はこれだ! など情報満載です。