突如現れたブキミな幽霊に慌てふためく男たち。
「ぎゃー!でたー!!」という悲鳴が聞こえてきそうです。
ところがこの幽霊、よーく見ると鼻はすっぽんぽんの男性の後ろ姿だし、歯はたくさん並んだふんどしのお尻だし、目も提灯だったりとなんだかヘンです。
作者の歌川国芳は恐ろしい幽霊の顔を「寄せ絵」と呼ばれる手法を使って、さまざまなポーズの人や物で表現したのです。
さすが「奇想の絵師」歌川国芳といったところ。
慌てふためく男性たちも、頭部はひとつなのに体は複数というだまし絵のような表現が使われています。一見すると恐ろしい絵ですが、国芳らしい遊び心がふんだんに込められているのですね。
ちなみにタイトルの「かさね」とは“三大幽霊”の一角に数えられることもある怪談「累ヶ淵」に登場する幽霊「累(かさね)」のことです。
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