荒れ狂う夜の海。翻弄される船。船上で慌てふためく船員たちの眼の前に現れたのは、巨大な黒い影。ぽっかりと空いた穴のような目がブキミです。
この大きな人影のようなものは「海坊主」と呼ばれる海の怪異。日本の各地で似たような怪異の目撃談があり、その大きさや呼び名はさまざまありますが、多くが船を破壊したり襲ってきたりと船乗りにとっては恐ろしい怪異です。
大の猫好きとして知られユーモアたっぷりな作品で大人気の歌川国芳の作品なだけあって、恐ろしい海坊主もどこか愛嬌を感じます。枠からにょっきりと飛び出した頭部の表現により、海坊主の巨大さがより一層見るものに伝わります。
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