江戸っ子が熱狂した初物四天王とは?

カツオが24万円! 江戸っ子の初物フィーバーが度を越している【初物四天王って?】

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食べ物の旬が薄れてしまった現代ですが、それでも四季折々、その季節になると味わいたくなる食べ物って今もあります。江戸っ子たちは旬が到来する前の「初物」が大好きでした。見栄っ張りで新しもの好きの江戸っ子たちが熱狂した「初物」事情をご紹介します。


「初物」の代表格・初鰹をあつかった浮世絵作品はたくさん。それほど人々の関心が高かったということ(『十二月之内 卯月初時鳥』三代歌川豊国 画)

「初物(はつもの)」ってなんだ?


はじめに、江戸っ子が熱狂した「初物(はつもの)」とは一体なにを指すかというと。 辞書で「初物」を調べると「その季節の最初にとれた野菜・果物・穀物・魚など」とあります。

「旬」と「初物」は混同しがちですが、「旬」が「野菜や果物が一番おいしく最盛期のとき」なのに対して「初物」は「旬」よりも先なんですね。「旬のはしり」という言葉もあります。

「初物七十五日」という慣用句があるのですが、その意味は「初物を食べると75日長生きする」ということ。

初物パワー、半端ない。

医学的に初物にそれだけの効用があるわけではありませんが、それほど「初物はありがたい」ということです。初物には縁起物の一面もあるんです。

日本人がいつから「初物」を珍重するようになったかは不明ですが、江戸時代の人々、特に江戸っ子は初物に熱狂し、江戸時代後期の天明年間(1781〜89年)に初物人気はピークを迎えました。

江戸っ子は新しいもの好きなうえに見栄っ張り。誰よりも先に初物を食べ「おめぇ、もう食ったか?(ドヤ顔)」と自慢のタネにしたようです。


初物界の4大スター「初物四天王」


季節ごとにバラエティ豊かな「初物」はありますが、人気ベスト4は「初物四天王」と呼ばれ特に重宝されました。やだ、なんかネーミングがかっこいい……。

では、気になる「初物四天王」のメンバーをご紹介。

まず、ダントツのナンバーワンはこちら。






画像引用元:浅草・蔵前『三代目魚熊』
カツオ

春が過ぎ初夏を感じるようになったら江戸っ子の頭のなかは初鰹でいっぱいといっても過言ではないでしょう(たぶん)。そんな初鰹についてはのちほどくわしくご紹介しましょう。

続いてお次はこちら。






画像引用元:Dr.Walletナビ


初鮭というのはあまり聞き慣れないですね。でも、秋の味覚として大人気だったというので、今でいう「秋鮭」のはしりのもののことでしょうか。

初鮭と初鰹、どちらも魚系初物ですがその人気は比べるまでもなく初鰹の方が圧倒的。江戸っ子は脂っこいものよりさっぱりしたものが好きだったようなので、そのあたりに理由があるのかもしれません。

ちなみに、今では考えられないのですが、現代の東京都墨田区あたりにも鮭が遡上し、釣り人の針にかかることがあったらしい。都内の川に鮭がいるのを見つけたらSNSで拡散されまくりそうです。

さて、お次はこちら。







ナスです。

現代人からするとナスに人気殺到というのもなんとなくイメージしにくいですが、初ナスも大人気。こちらものちほどくわしく。

さぁ、四天王の最後はこちら。







松茸

「初茸」と表記しますが、初松茸のことです。こちらは現代でも重宝され、初物には高値がつきますよね。今も昔も庶民には高値の花です。

江戸時代、松茸は江戸よりも上方(大坂や京都)の方が人気が高く、上方では秋の行楽として松茸狩りもしたようです。


江戸時代の関西ガイドブックにも松茸狩りのようすが。あちこちで大きな松茸が!(『摂津名所図会』(巻5より)「金竜寺山松茸狩」)
まぁ、江戸っ子にあんまりマツタケが人気じゃなかったのは、単純に関東にマツタケの産地が珍しく江戸で松茸があまり出回ってなかったかららしいのですが。「別に好きじゃねーし」という一種の強がりかもしれません。

ちなみに、将軍さまに献上される初茸は上州太田(現・群馬県太田市)にある金山産のものに限定され、秋に初物がとれると選別作業をしたあと竹カゴに詰め、「御松茸御用」と仰々しく書かれた札を掲げながら人足たちが昼夜ぶっ通しのリレー方式で江戸まで大急ぎで運びました

群馬県太田から江戸までわずか20時間ほどで運んだらしい。すごいぞ、人力特急便!


太田市では秋になると江戸時代の献上松茸のようすを再現した「松茸道中」というイベントを開催。さながら大名行列のよう。画像右端に見えるのがマツタケの入った竹かごです。松茸さまのお通りだ〜。画像引用元:太田市役所
さて、では初鰹のお話です。

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