潮干狩りのベストタイミングは3月3日!
長い冬が終わり春到来。うららかな陽気に誘われてどこかへ遊びに行きたくなるのは今も昔も同じ。江戸時代、春の2大レジャーとして人気を集めたのがお花見と潮干狩りでした。余談ですが、江戸時代には「潮干狩り」ではなく「汐干狩」「汐干」と書きました。
潮干狩りもお花見と同じく、庶民のレジャーとなったのは江戸時代のこと。
老いも若きも男も女も子どもも庶民もセレブも誰もかれもがわっせわっせと潮干狩りをエンジョイしました。
江戸の年間行事をまとめた『東都歳事記』(1838年刊)という本には潮干狩りのことも書かれているのですが、それによれば潮干狩りのシーズンは「汐干 当月より四月に至る。其内三月三日を節(ほどよし)とす」とのこと。つまり、「3月から4月にかけてが潮干狩りシーズン。なかでも3月3日はベストタイミング」というわけです。
現代人からすると「3月3日に潮干狩りするとか寒すぎ」と思うかもしれませんが、これはあくまで旧暦の3月3日のおはなし。現代のカレンダーで考えると3月下旬から4月上旬にあたります。これなら納得。
なぜ3月3日が潮干狩りのベストタイミングなのか?
その理由は、この時期が1年のうちで一番干満の差が大きくなるいわゆる「大潮」の時期にあたるから。ちなみに秋にも「大潮」がやってくる時期があるのですが、潮が引くのが夜のためレジャー向きではないようです。
潮干狩りとひな祭り、じつは深い関係があった!?
さて、3月3日のイベントといえば真っ先に思いつくのが「ひな祭り」ですよね。
かなり意外なんじゃないかと思いますが、潮干狩りとひな祭り、じつは深い関係があるといわれています。
現在、“女の子のお祭り”として定着しているひな祭りですが、そのルーツのひとつとされるのが3月の上巳(じょうし)の日に平安貴族たちが行っていた無病息災を祈る儀式。
具体的には、自分の厄災や穢れ(ケガレ)を託した人形(ヒトガタ)を川や海などに流すというものです。現代でも全国各地で行なわれている「流し雛」の風習もこの儀式がルーツといわれています。
つまり、水辺で行っていた祓いの儀式がかたちを変え、レジャー化したものが「潮干狩り」というわけなのです(諸説あります)。
沖縄地方では現代でも「ハマウリ(浜下り)」という行事が旧暦の3月3日にあるんだとか。一家総出でお弁当を持って海岸へ行き、潮干狩りをしたり磯遊びをするほか、女性たちは潮に手足を浸して穢れを祓い、健康を祈願するのだそう。潮干狩りのルーツにつながるものを感じて興味深いですね。
話を江戸時代の潮干狩りに戻します。
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