ふんどしの素材は身分で違った?
さまざまなタイプがあったふんどしですが、素材としては木綿が一般的でした。江戸時代以前は麻だったそうですが、麻のふんどしはイマイチ着け心地が悪そうです。
将軍をはじめとする上流階級の武士や、富裕層の商人は絹や縮緬(ちりめん)のリッチふんどしを使ったそう。また、侠客のなかには真っ赤な緋縮緬や絞りのふんどしを締める“伊達者”もいたとか。
ふんどしを見れば、だいたいどんな人なのかわかったのかもしれませんね。
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一説に、江戸時代には損料屋(そんりょうや)という今でいうレンタルショップでふんどしのレンタルもしていた、ともいわれていますが、これについては確たる証拠がないらしく議論がわかれるところのようです。実際にあったとしても、ふんどしレンタルは正直しんどい。
さて、ふんどしのカラーバリエーションについて。
だいたい3種類で、白、赤、紺がスタンダードカラーでした。
こちらの画像は“奇想の絵師”として有名な幕末の絵師・歌川国芳の作品。
ふんどし姿の男性たちが絡み合っていますが、描かれているのは14人のふんどし男なのに、あら不思議、35人のふんどし男がいるように見えるというトリックアート。
男衆のふんどしは赤や薄黄色とカラフルです。
画像右、橋の上で車を押す2人の男性がきりりと締めているのは紺色の六尺ふんどし。雪も積もってめちゃくちゃ寒そうですがふんどし一丁。たくましいです。
プライドの高い武士などは必ず真っ白なふんどしを締めていましたが、“あえて”ちょっと黄ばんだような薄黄色のふんどしを愛用した超有名武将がいました。それがこちら。
そう、ご存じ“神君”徳川家康公です。
家康さま愛用のふんどしが今も子孫たちによって大切に保管されているのですが、倹約家で知られる家康公らしい逸話が残っています。
なんでも家康公は「真っ白なふんどしではなく初めから薄黄色のふんどしならば、多少の汚れは気にならず頻繁に洗濯せずとも済む。さすれば生地も傷みにくく一石二鳥じゃ」と持論を述べ、家臣たちにも薄黄色のふんどしを着用するよう勧めたんだとか。
でも、忠誠心あふれる三河武士たちも「ふんどしは真っ白にかぎる」と家康公の勧めを渋ったらしい。真偽のほどはともかく、いかにも“らしい”エピソードですね。