キャッチ&リリース
放し亀売り
江戸時代、夏のイベントのひとつに「放生会(ほうじょうえ)」というのがありました。
これは殺生を戒める意味で、捕獲された生き物をあえて逃がすというもので、もともとは仏教的儀式でしたが、江戸時代には民間行事として大人も子どもも楽しんだようです。
放たれる生き物は、亀、鳥(おもに雀)、鰻など。
8月15日(旧暦)の「放生会」が近づくと寺社の境内や市中に「放し亀売り」や「放し鳥売り」が現れ、放生する生き物を売り歩きました。値段は1匹4文(約100円)ほどだったそう。ちなみに放生会は今も各地の寺社で行われています。
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めでたいけどやかましい
節季候(せきぞろ)
江戸時代の前期から続く歴史ある門付(かどづけ)の一種。門付とは家の前で音曲などを奏しチップをもらう芸で、節季候は年末の風物詩でした。
2~3人のグループで1組なんですが、まずファッションが異様。赤・白・青など色とりどりの紙で飾った編み笠をかぶる者、赤い布で顔を隠し頭にウラジロをつけた笠をかぶる者、めでたい松竹梅を描いた紙エプロンをつけた者……などなど。
こんなヘンテコな格好をしたうえ、手に持った太鼓やササラ(竹製の楽器)、拍子木をやかましく鳴らしまくり、「節季候、節季候、めでたい、めでたい」などと囃し立てました。
ただでさえ忙しい年末に家の前や店先でやかましくされたらたまらない。人々は「これあげるからどいとくれ」とばかりにお金や米を与え追っ払ったんだとか。
ちなみに、上の絵、節季候(せきぞろ)はどこで騒いでいるかというと、
年末に最も忙しい餅屋の前です。休む間も無くヒイヒイ言いながら餅を作ってるところに騒ぎにやってくるセキゾロまじひどい。
ただ、節季候の騒々しさが師走のせわしさと相まってなんだか風情があるようにも感じられますね。
さすが100万都市・江戸の町、ユニークな商売がたくさんありますね。あまりお金になりそうにない商売もありますが、どれもシャレがきいていてどこか明るいところに江戸っ子精神が垣間見えるようです。