• 更新日:2017年6月25日
  • 公開日:2016年6月18日




キャッチ&リリース

放し亀売り


江戸の珍商売・放し亀売り(『江戸名所図会』「姿見橋」)
川の近くの橋元に放し亀売りが。近くを通った子どもが興味津々に見ています(『江戸名所図会』「姿見橋」)
江戸時代、夏のイベントのひとつに「放生会(ほうじょうえ)」というのがありました。

これは殺生を戒める意味で、捕獲された生き物をあえて逃がすというもので、もともとは仏教的儀式でしたが、江戸時代には民間行事として大人も子どもも楽しんだようです。

放たれる生き物は、亀、鳥(おもに雀)、鰻など。

8月15日(旧暦)の「放生会」が近づくと寺社の境内や市中に「放し亀売り」や「放し鳥売り」が現れ、放生する生き物を売り歩きました。値段は1匹4文(約100円)ほどだったそう。ちなみに放生会は今も各地の寺社で行われています。

放生会のために売られている放し亀(『名所江戸百景』「深川万年橋」 歌川広重 画)
大胆な構図で知られる『名所江戸百景』シリーズのなかでも目をひく「深川万年橋」。紐で吊るされた亀は放生会のために売られている放し亀(歌川広重 画)

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めでたいけどやかましい

節季候(せきぞろ)


江戸の珍商売・節季候2(『職人尽絵詞』より、鍬形蕙斎 画)
節季候。おかめのお面をつけ、ウラジロ付きの笠をかぶってにぎやかに騒いでます。(『職人尽絵詞』より、鍬形蕙斎 画)
江戸時代の前期から続く歴史ある門付(かどづけ)の一種。門付とは家の前で音曲などを奏しチップをもらう芸で、節季候は年末の風物詩でした。

2~3人のグループで1組なんですが、まずファッションが異様。赤・白・青など色とりどりの紙で飾った編み笠をかぶる者、赤い布で顔を隠し頭にウラジロをつけた笠をかぶる者、めでたい松竹梅を描いた紙エプロンをつけた者……などなど。

こんなヘンテコな格好をしたうえ、手に持った太鼓やササラ(竹製の楽器)、拍子木をやかましく鳴らしまくり、「節季候、節季候、めでたい、めでたい」などと囃し立てました。

ただでさえ忙しい年末に家の前や店先でやかましくされたらたまらない。人々は「これあげるからどいとくれ」とばかりにお金や米を与え追っ払ったんだとか。

ちなみに、上の絵、節季候(せきぞろ)はどこで騒いでいるかというと、

江戸の珍商売・節季候(『職人尽絵詞』より、鍬形蕙斎 画)
画像左下にいる2人組が節季候。餅屋の店先でにぎやかに騒いでいます。(『職人尽絵詞』より、鍬形蕙斎 画)
年末に最も忙しい餅屋の前です。休む間も無くヒイヒイ言いながら餅を作ってるところに騒ぎにやってくるセキゾロまじひどい。

ただ、節季候の騒々しさが師走のせわしさと相まってなんだか風情があるようにも感じられますね。

さすが100万都市・江戸の町、ユニークな商売がたくさんありますね。あまりお金になりそうにない商売もありますが、どれもシャレがきいていてどこか明るいところに江戸っ子精神が垣間見えるようです。

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