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寺子屋で使われた教科書は将来に合わせて各種用意
お次は教科書です。寺子屋には規定の教科書というのはありませんでしたが、全国で幅広く使われた教科書的なものはありました。それが「往来物(おうらいもの)」と呼ばれる書籍です。
こちらは全国の寺子屋で使われた定番中の定番教科書『庭訓往来(ていきんおうらい)』(1799年刊)です。
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「往来物」というのは、手紙のやりとり形式でつくられた教科書の総称で、なかでも『庭訓往来』は衣食住をはじめ、職業、建築、宗教、歴史など幅広い一般常識を内容とし、多くの単語と文例が学べることからもっともポピュラーな教科書として広く使われました。
寺子屋は読み書きそろばんの基礎学問からスタートし、最終ステップでは子どもたちが将来就くであろう職業に必要な知識を指導してくれました。そのため、教科書も将来の職業別に各種ありました。たとえば、商人の子ども、もしくは商家へ奉公予定ならばこちらの教科書。
その名も『商売往来(しょうばいおうらい)』です。商業に必要な単語(商品の名前など)や知識、商人の心構えなどを学ぶことができました。
また、たとえば、農民の子どもならばこちらの教科書。
ズバリ、『百姓往来』です。農作業をはじめ、年貢などの納税、牛馬の飼育法、農民の生活など農家に必要な単語や知識を学ぶことができました。
また、職人の子どもならばこちら。
『番匠往来(ばんしょうおうらい)』という教科書。大工や職人になるために必要な単語や知識を学ぶことができました。
ほかにも、漁民の子どもには『船方往来(ふなかたおうらい)』、八百屋の子どもには『八百屋往来』などなど、さまざまな職業に応じた多種多様な教科書が用意されていました。
また、職業を超えて必要となる知識、たとえば手紙の慣例語句を集めた『消息往来』、日本各地の地理を学ぶための『都路往来(みやこじおうらい)』なんてものもあり、「往来物」の総数は7000種類とも!
現代の教科書との違いは「実用的な知識」を内容としていること。詰め込み学習は今も昔も同じ。ただ、寺子屋での勉強は実用一辺倒、将来に直結した知識を学び、教科書である「往来物」も実用知識を詰め込んでありました。
また、寺子屋では学問だけでなく礼儀作法や道徳なんかも厳しく教えられたそうです。あんまり先生の言うことを聞かない悪ガキにはこんな罰も待っていました。
画像右。机の上で正座させられているのが反省中の子ども。まあ、顔を見る限りぜんぜん反省していなさそうですが。