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裏長屋の暮らしをのぞいてみよう!
ひとくちに「裏長屋」といっても間取りはさまざま。6畳ワンルームの激狭タイプもあれば、2階建てのメゾネットタイプもありました。
室内をご紹介する前に、まず「割長屋(わりながや)」と「棟割長屋(むねわりながや)」のお話を。雑イラストにするとこんな感じ。
- 割長屋
- 1軒の建物を横に区切ったもの。入口の反対側が窓などになっており通気性や採光にも優れていました。
- 棟割長屋
- 1軒の建物を横に区切り、さらに真ん中で縦半分に分割したもの。狭いうえに3面が壁で窓もないので昼も暗い…。そして三方から生活音が丸聞こえも、激安家賃で需要が多かった。代表的な間取りは6畳ワンルームの通称「九尺二間(くしゃくにけん)」。間口が九尺(約2.7m)×奥行が二間(約3.6m)だったことからこう呼ばれます。
九尺二間の室内は、こんな感じ。
畳敷きの部分は4畳半で、残り1畳半が玄関兼台所となっていました。じつにコンパクト。
深川江戸資料館で再現された長屋内部を見てみると、
入口である引き戸の障子を開けると部屋全体がいきなり丸見え。ちなみに入口の「むきみ」「政助」の文字は、アサリやシジミの行商人(棒手振)=「むきみ」をやってる政助さんという意味。
部屋の隅には商売道具である天秤棒と桶が置いてあるので、居住スペースがいよいよ狭い。ここにたとえば4人家族で暮らします。格安の部屋なのか畳ではなく筵(むしろ)が敷いてあるだけ。
台所は、
コンパクトで機能的なキッチンです。写真左にあるのは水瓶(みずがめ)。共同井戸で汲んだ水や水売りから買った水を飲用や煮炊き用として貯めていました。
その隣にあるテーブルのようなものは「流し」です。流しの上にはまな板や包丁、桶なんかが置いてあります。写真右にあるのが竈(かまど/へっつい)です。
壁につけられた棚には味噌などの調味料、すり鉢、ザルなどが丸出し収納。片付けコンサルタントが発狂しそうです。板葺き(いたぶき)屋根には煙出し用の天窓もついていました。
もう少し広い間取りの部屋や2部屋タイプのものは手習いや三味線などの師匠に人気でした。
こちらも深川江戸資料館で再現。設定は、三味線や裁縫、手習いなどを教える師匠・“於し津(おしづ)”という女性が居住。たぶんこんな感じだったのでしょう。
話を再び室内に戻して。こちらはちょっと広めで畳敷き部分だけで6畳あります。立派なタンスもあり、なかなかの暮らしぶり。ちなみに、タンスのない家では代わりに葛籠(つづら)を使いました。
タンスの奥に低い屏風がありますが、これは「枕屏風(まくらびょうぶ)」と呼ばれるもので、畳んだフトンや枕など寝具の目隠しとして使われました。枕屏風の手前にあるのは江戸時代の照明器具である行灯(あんどん)です。部屋の中央には暖房器具である角火鉢も見えます。
さて、どの部屋でも見当たらないのがトイレとお風呂。トイレは敷地内に共同のものがあったのでみなそこを使いましたが、お風呂はどうしていたかといいますと、湯屋(ゆや)、つまり銭湯に通っていました。