食器はなにで洗ったのか? その頻度は??
毎食後の食器洗いは家事のなかでもなかなかメンドクサイ仕事ですよね。さて、1日3食が習慣化したのは江戸時代中期以降といわれています。
女性が食事のお膳を運んでいます。お膳に乗っている食器は漆器です。現在、食器は瀬戸物など磁器が多いですが、江戸時代も中期までは漆器の食器がメインでした。
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さて、どれくらいの頻度で食器を洗っていたのかといいますと……なんと月に4~5回ほど。ビックリです。毎日の基本のお手入れとして、毎食後は食器に白湯(さゆ)を注ぎ、漬物で器をぬぐってから白湯を飲み、仕上げにボロ布で拭いて、はいオシマイだったそうです。
現代の食事と比べ油分も少ない江戸時代の食事、食器をきれいにするのは基本的に水で十分でした。
油汚れのある時にはこれを洗剤として使いました。
灰。
また灰を水に溶かし上澄みを集めた灰汁(あく)も洗剤の定番でした。これらのアルカリ成分にはたんぱく質を分解する効果があるそうです。なるほど、科学的。
基本的に食器は手や布で洗っていたようですが、お釜や鍋などを洗うには乾燥させた藁(わら)や糸瓜(へちま)などがスポンジの代用として使われたそうです。
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洗濯洗剤に使っていたのは植物の実!?
洗顔料、ボディソープ、シャンプー、食器洗剤ときて最後は洗濯の洗剤について。前述したように石鹸が一般に普及するのは明治時代。それまでなにを洗濯洗剤として使っていたかといいますと、
ムクロジという植物の実です。これの実の果皮が洗濯洗剤として使われていました。
こちらはサイカチという植物の実。
植物の実が洗剤?
ところがこれらの果皮やサヤ、実をお湯に入れて煮詰めると、まるで石鹸のようにブクブクと泡が立つのです。
ムクロジやサイカチの実には「サポニン」という天然の界面活性剤が含まれており、この成分が汚れを落としてくれます。
ほかに洗濯洗剤として、先ほど食器洗いにも登場した灰汁も定番。また、お米のとぎ汁、豆腐を作る過程で出る豆腐湯なども洗濯の洗剤として使われました。
こうした自然素材の洗剤を使ってどのように洗濯をしていたかといいますと、無論、洗濯機などありませんから手洗いです。江戸時代以前は川原や井戸端などで、足で踏む「踏み洗い」や「叩き洗い」が主流でした。
戦国時代までは洗濯する衣類のほとんどが麻など硬くて丈夫な素材でできていたのでこれで大丈夫でしたが、江戸時代になると柔らかい木綿の着物が主流になり、「手もみ洗い」へ変化しました。
また、丈夫な盥(たらい)の登場によりこちらの絵のような「盥で手もみ洗い」が江戸時代の洗濯風景となり、浮世絵にもよく描かれています。
ちなみに、洗濯板は江戸時代にはまだありませんでした。石鹸と同じく洗濯板もその登場は明治時代のことです。