肉料理パラダイスだった長崎の出島
隠語を駆使したり薬と称してこっそり肉を食べていた日本にあって、堂々と肉料理を楽しんでいた場所があります。それがここ。
長崎の出島です。
鎖国政策の一環として長崎につくられた人工島で、オランダ商館がここに置かれ多くのオランダ人が住んでいました。
出島での食事はもちろん洋食で、出島の家畜小屋では食用として牛や豚を飼育していたとか。
これはオランダ商館の日常を描いた絵巻で、調理室で豚を解体しているところ。かなりの人数で大量にバラしているところを見ると、消費量もなかなかだったようです。
出島では、太陽暦の正月元日を祝う「オランダ正月」というイベントが行われていましたが、その際、豪華な洋食フルコースが出されました。
このイベントにはオランダ人だけでなく、出島で働く幕府の役人や通訳ら日本人も招かれたそうですが、招待された人々は洋食の珍しさにほとんど手をつけずに持ち帰ったとか。(きっと「薬」と称してあとで家で食べたのでしょう)
オランダ正月のメニュー一部
- 牛肉、豚肉などの肉料理
- 魚のバター煮
- スープ
- パン
- ケーキ
- コーヒー
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バラエティ豊かな鳥料理
さて、こっそり食べていた肉料理のなかで鳥肉はよく食べられていました。ちなみに、ウサギを数える時に「一羽、二羽」と呼ぶのは「羽」と呼ぶことで「ウサギは獣肉ではなく鳥の仲間です」というこじつけ。前述の隠語と同じようなものです。
鳥肉といえば今では鶏がポピュラーですが、江戸時代のメインは野鳥。
江戸時代の料理書によれば、食用の鳥の格付け第1位は驚きのこちら。
鶴です。
うーん、現代人からするとなんだか想像がつきません。スラリとしていてそもそも食べる部分が少なそうです。
鶴は姿も美しく縁起のよい鳥とされたこともあり、将軍や大名に珍重され朝廷にも献上されました。鶴は秋から冬の食材で、それ以外の季節には塩漬けにされたそうで、汁物や煮物などに調理されました。
ほか、江戸時代ではポピュラーな食材だったのがこちら。
白鳥です。
白鳥、か……
やはり食用としてイメージがない。串焼きなどにしたそうです。白鳥の焼き鳥。
ほかにも、江戸時代の人はハト、鴨、雁(がん)、雉(きじ)、鷺(さぎ)、雀(すずめ)などを食べました。