• 更新日:2017年8月18日
  • 公開日:2016年2月13日




江戸時代後期、江戸で雪模様が大流行します。着物や食器にまで雪模様がデザインされる熱狂ぶり。火付け役は「雪のお殿様」の愛称で親しまれた、ある大名でした。

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江戸に空前の雪模様ブームを起こした

日本初の雪図鑑 土井利位


土井利位のまとめた雪観察図鑑『雪華図説』
利位のまとめた『雪華図説』。美しい雪の結晶がずらり。続編もある
土井利位(どいとしつら)は、1789年(寛政元年)生まれの古河藩4代藩主。25歳で藩主になった利位はある趣味に熱中しはじめます。

それは雪の結晶を観察すること。

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自分の目では確認できないが細やかな模様があり、しかも同じものはふたつとない……。雪の結晶の美しさと不思議な世界にすっかり魅了された利位は、以来、20年にわたって雪の結晶を観察し続けました。雪が降りそうになれば黒地の布に雪を受け止め、結晶が壊れないようピンセットで黒漆器にそっと移し、それを舶来の顕微鏡で観察し、さまざまな結晶をすばやくかつ正確に図にして記録しました

そして、研究の集大成として日本初の雪の自然科学書となる『雪華図説』を出版したのです。利位が魅了された雪の結晶の美しさは、江戸っ子たちをも魅了しました。『雪華図説』に描かれたモダンなデザインの雪の結晶は、新らしモノ好きの江戸っ子たちのハートをがっちり掴み、空前の雪模様ブームを巻き起こしたのです。

雪模様の印籠(「雪華文蒔絵印籠」)
(「雪華文蒔絵印籠」)
雪模様の印籠。モダンでとってもオシャレ! 利位が藩主を務めた古河藩では他藩にこうした雪模様の印籠をプレゼントしたとか。これはうれしい


雪模様の印籠(「雪華文蒔絵印籠」)
(「雪華文鍔」)
雪模様が施された刀の鍔(つば)。武家にも雪模様が愛されていたことがうかがえます

利位が描いた雪の結晶の模様は「雪華文様」「雪輪文様」と呼ばれ、今でも古典柄の分類に入っています。新たな文化の生みの親となった「雪のお殿様」ですが、藩主としても幕政において老中首座にまで昇りつめ財政改革などで手腕を発揮しました。しかし、不運もありわずか10ヶ月で老中職を辞職、その4年後に他界しました。

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石を愛し、変わった石を求め、全国を歩き回った石マニアの70年。

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石とともに生きた鉱物学のパイオニア

奇石コレクター 木内石亭


木内石亭の肖像画
「石が好きだ」という純粋な気持ちを生涯持ち続けた石亭
木内石亭は1724年(享保9)に琵琶湖の西側にある下坂本村(現・滋賀県大津市下阪本)で生まれ育ちました。

石亭の出身地である近江南部は名石や奇石の産地として有名で、珍しい石を自慢しあう「弄石(ろうせき)」という趣味も流行するほどでしたので、石亭は自然に石に興味を持つようになります。

以来、85歳でこの世を去るまで、木内石亭はただひたすらに石を探求し続けたのです。訪れた国は30カ国以上。それだけでなく各地にいる同類の奇石コレクターに頭を下げては奇石を集めまくり、コレクション数は2000種類以上にもなったといいます。やがてトップクラスの奇石コレクターとなった石亭は「石の長者」と呼ばれるまでになり、その名は全国に知られるようになりました。

鉱物学や考古学といった学問がまだなかった時代にあって、石を分類してその形状や産地などを解説した『雲根志(うんこんし)』などの著書を多く残した石亭は、鉱物学や考古学のパイオニア的存在といえるでしょう。

木内石亭の代表的著『雲根志』に登場する「ナンダモンダ」という名の石
石亭の代表的著『雲根志』に登場する「ナンダモンダ」というへんてこな名前の石。石亭も「最奇観」と解説しています。

「ナンダモンダ」の正体ともいわれている珠状閃緑岩
そして、「ナンダモンダ」の正体がこれかも!? といわれているのが、この珠状閃緑岩。たしかに「ナンダモンダ」に似ています

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