江戸っ子の言葉「江戸ことば」
江戸っ子の言葉といえば落語や時代劇ドラマでもおなじみ「べらんめえ調」ではないでしょうか。
武士の使ういわゆる「山の手言葉」とは対照的に庶民の間で育った「江戸ことば」は、とにかく早口でキレがよく、ちょっとぶっきらぼうなのが特徴。略語が多いことや「ひ」「し」「す」の混在も特徴です。一例をあげますと
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- てやんでい
- 「なに言ってやがるんだ」の略語
- するってえと
- 「そうするというと」の略語
- あたぼうよ
- 「あたりまえよ、べらぼうめ」の略語。意味は「当たり前だよ、バカ野郎」
- しとびと
- 「人々」のこと。「ひ」が「し」になっている
- しがし
- 「東」のこと
- まっつぐ
- 「真っ直ぐ」のこと。「す」が「つ」になっている
- けーもの
- 「買い物」のこと。母音が連続する単語の場合に見られる
- でーこん
- 「大根」のこと。理由は上に同じ
- あすぶ
- 「遊ぶ」のこと
- うせる
- 「来やがる」のこと
- おっこちきる
- 「ぞっこん惚れる」のこと
などなど
てな感じです。また、「小ざっぱり」「小ぎたない」など頭に「小」をつける表現も多いです。これはストレートすぎる言い方は「野暮(やぼ)」という江戸っ子の美意識によるものとも。
式亭三馬の滑稽本『浮世床』は、生き生きとしたリアルな江戸ことばでの会話が書かれており江戸弁研究の貴重な資料となっています。
「いき」な江戸ことばですが、東京でも標準語が浸透し現在では使う人もまれになってしまったのはちょっとさみしいですね。