• 更新日:2017年8月18日
  • 公開日:2017年1月14日


巻いてよし、かぶってよしの「手ぬぐい」が便利すぎる


冬、特に雪の日には頭部だってしっかり防寒したい。それは今も昔も同じ。現代ならニット帽とかファーの帽子なんかが人気ですが、江戸時代に人気だったのは手ぬぐいです。

船に乗り込む女性。男性は手ぬぐいをかぶっている(『江戸八景』「隅田川暮雪」喜多川歌麿 画)
『江戸八景』「隅田川暮雪」喜多川歌麿
雪見にでも出かけるのでしょうか、品のよい女性が船に乗り込もうとしています。その女性に傘をさしかけている男性が頭に手ぬぐいをかぶっています。

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江戸時代、手ぬぐいはそれまでの麻素材に代わって木綿素材のものが登場し、広く普及するようになりました。手ぬぐいは、防寒のほか、雨具の一種として、また日よけや防塵のための「かぶりもの」として人々に愛されました。浮世絵にも手ぬぐいをかぶっている人がたくさんいます。

また、手ぬぐいにはこんな使い方もありました。

御高祖頭巾をかぶる江戸時代の女性(『うゑ野の暮雪』歌川豊国 画)
『うゑ野の暮雪』歌川豊国 画
こちらの女性がかぶっているのは「御高祖頭巾(おこそずきん)」という、女性専用の頭巾。これも防寒具や雨具として定番でした。

以前、明治時代の美人特集で紹介しましたが、御高祖頭巾をかぶった女性の写真がこちら。

お高祖頭巾、目元のみ露出する女性(明治時代の美人)

お高祖頭巾の女性(日下部金兵衛撮影、明治時代の美人)

「頭巾」にもさまざまなバリエーションがあり、男性も防寒用に頭巾をかぶることもありました

さて、先ほどの浮世絵
の首元に注目。

御高祖頭巾の上から手ぬぐいを巻いています。これは首元に寒気が入り込まないようにするための工夫です。手ぬぐいって超ベンリ。

また、手ぬぐいをマフラーのように首に巻くこともありました。こんな感じ。

防寒のため手ぬぐいを首に巻く江戸時代の男性(『隅田川雪の情景』歌川国貞 画)
『隅田川雪の情景』歌川国貞
こちらは先ほど登場した『隅田川雪の情景』という浮世絵
の一部ですが、男性がマフラーのように手ぬぐいを首に巻いています。

江戸時代、「襟巻き」という現代のマフラーのようなものもありましたが、ご隠居の老人や病人限定のアイテムだったそうで、それ以外の人は使わなかったとか。なので、寒い時には手ぬぐいマフラーが活躍したんですね。

手ぬぐいは、その名の通り、洗った手をぬぐうのに使われたり、入浴中には身体を洗うのに使われたり、物を包む風呂敷のようにも使われたりととにかく万能アイテムでした。

「笠」「手ぬぐい」「頭巾」のほか、「帽子」も女子の外出用かぶりものとして四季折々に活躍しました。

たとえば「綿帽子」。白無垢の花嫁さんがかぶっているあれです。

綿帽子をかぶる白無垢の花嫁

これ。

綿帽子といえば今では“花嫁限定アイテム”というイメージですが、じつは江戸時代には女性の外出用かぶりものの定番でした。真綿を伸ばして頭に乗せるので、あったかくて柔らかく防寒用にももってこい。

江戸時代の綿帽子(『都風俗化粧伝』より)
『都風俗化粧伝』に紹介された綿帽子。時代とともに素材や形状も変化しました
江戸時代の冬の頭部はなかなかにバラエティ豊かだったようです。

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