忍者が鈴虫の養殖!? 意外に貧乏だった武士たちの驚きの内職とは?

  このエントリーをはてなブックマークに追加


プライドで腹はふくれぬ!ならば内職だ!!


「武士は喰わねど高楊枝」なんて言葉があるように、貧乏でもプライドだけは高かった武士たち。でもプライドだけでは腹はふくれぬし、ましてや家族を養うことなんてできません。

物価が高騰しだした江戸時代中期以降、生活苦に喘いだ武士たち始めたのが内職。基本的に武士の内職は禁じられていたそうですが、下級武士の内職に限っては許されていたそうです。また、藩によっては黙認どころか内職を奨励していたところもありました


さて、武士の内職というと真っ先に思い浮かぶのがこれではないでしょうか。



傘張りは武士の内職の定番
画像引用元
傘張り

時代劇ドラマでも浪人者が傘張りの内職をしているシーンがよく登場するぞ。

実際に傘張りの仕事は武士の内職のド定番。

特に、現代の東京都港区青山にあった青山の鉄砲百人組の組屋敷では、組織的な傘張りの内職が行われていました。彼らの作る傘はとても評判がよく「青山傘」というブランドにまでなったとか。

そんなブランド傘を手がけていた青山の鉄砲百人組たち。

元をただせばその正体はーー




『影の軍団』に登場する服部半蔵(千葉真一)

甲賀の忍者です。

ちなみに写真は『影の軍団』に登場する服部半蔵千葉真一)なので伊賀忍者ですが、細かいことは気にしないでほしい。

「鉄砲百人組」は戦に備えての鉄砲集団なのですが、鉄砲を放つ代わりに傘を作っていたわけです。平和な江戸時代にあって、甲賀の忍者たちは優秀な傘職人軍団になっていたのです。

余談ですが、江戸時代の傘は現代に比べてとっても高価でした。

女性やセレブに人気の「蛇の目傘」は新品だと1本およそ2万円。「番傘」という一番リーズナブルな庶民向け傘でも1本5,000〜7,000円くらい。

なので人々は傘が破れても捨てることはなく、「古傘買い」というリサイクル業者に売りました。その古傘は、紙を張り替えて新しく再生されて売られるのですが、ここで活躍したのが傘張りを内職にした武士たちです。

限られた資源を大切し再利用が徹底的に行われたエコ都市・江戸の“縁の下の力持ち”として、下級武士たちは頑張っていたのです。

願掛けのため京の清水の舞台から飛び降りる女性(鈴木春信 画)
メリーポピンズばりに傘片手に飛んでいる少女。ちなみにこれは、願掛けのため京の清水の舞台から飛び降りているところ。こんな無茶して傘が壊れても大丈夫。内職の武士が張り直してくれます。(鈴木春信 画)
青山の鉄砲百人組が傘張りならば、牛込弁天町(現・新宿区弁天町)の鉄砲百人組は提灯張りの職人集団として有名でした。しかも、こちらも有名忍者軍団「根来(ねごろ)組」。忍者は手先が器用だったんでしょうかね。

武士にとって手習い(書道)は心得のひとつだったため、提灯の文字入れなどはお手の物だったようです。

提灯の絵付け作業をイメージして撮影した古写真
提灯の絵付け作業を撮影した古写真(被写体は内職している武士ではありませんので悪しからず)
甲賀、根来ときたら伊賀忍者だって何かやってたはず、と思いますよね。


はい。やってました内職。



江戸時代、千駄ヶ谷(現・渋谷区千駄ヶ谷)に組屋敷があった伊賀者たちは、どんな内職をしていたかと言いますとーー驚きのこちら。





伊賀忍者は鈴虫の養殖を内職にしていました
画像引用元
鈴虫の養殖



伊賀忍者、まさかの昆虫ブリーダーになる、の巻


鈴虫のほかコオロギも養殖していたほか、虫カゴの製作も行っていました。

飼育された虫たちは、虫売りに卸され市中や縁日などで販売されました。鳴き声の美しい鈴虫やコオロギはペットとして庶民に大人気となったのですが、その裏には伊賀忍者たちがいたとは驚きです。

江戸時代の虫売り(『夜商内六夏撰 虫売り』歌川豊国 画)
江戸時代の虫売り。オシャレな格子柄が虫屋の目印(『夜商内六夏撰 虫売り』歌川豊国 画)
江戸時代の人気ペットといえば金魚ブームの影にも武士の内職がありました。

江戸時代中期以降、それまで高級ペットだった金魚は国内での養殖が盛んに行われるようになったことで手軽に手に入る庶民的ペットとなり、金魚売りは夏の風物詩となりました。

で、金魚の養殖を手がけていたのが下級武士たちだったのです。

現在の台東区台東にあった下谷(したや)の御徒組の組屋敷は金魚の養殖で有名だったようです。ちなみに、御徒組の本来の役目は、将軍が外出する際の沿道警備です。

そんなイカツイ武士たちが可愛らしい金魚を熱心に育てていたのを想像するとちょっと微笑ましいですね。

金魚と美女は鉄板の組み合わせで浮世絵にも多数登場(喜多川歌麿 画)
金魚と美女は鉄板の組み合わせで浮世絵にも多数登場。この金魚も下級武士が内職で育てたものかも(喜多川歌麿 画)


  このエントリーをはてなブックマークに追加

江戸のおもしろトリビアを配信中

江戸ブログ 最新記事

吉原に春だけ現われる桜の木 !? 江戸時代の花見は現代以上の大イベントだった!
江戸時代の人々は現代人以上にお花見を満喫していた!お花見スポット、花見弁当、桜餅、コスプレ、花見用の晴れ着などなど。今回は江戸のお花見事情を紹介します!
2017-03-26 14:49:05
【長屋に住むのは36歳未亡人】江戸下町を再現した深川江戸資料館のこだわりが半端ない
東京都江東区にある深川江戸資料館。そこは、知る人ぞ知るこだわりすぎの資料館。江戸時代の下町を完全再現した深川江戸資料館のここが凄い!を紹介します
2017-03-25 19:14:28
もとは女子の祭りじゃない!? ひな祭りの由来が意外と知らないことだらけ
あの暴れん坊将軍・吉宗が江戸時代のひな人形について意外な命令を出していた!?ひな祭りの由来や歴史を徹底紹介します!
2017-03-03 11:10:12
徳川歴代将軍を全員紹介!教科書に載ってないエピソードこそ面白かった【覚え方も】
265年続いた戸時代。歴代将軍15人の興味ぶかいエピソード、略歴、性格、評価、死因などをまとめてみました。これを読めば将軍がもっと好きになること間違いなし!
2017-02-17 11:15:25
【画像あり】まるでクイズ! 江戸時代の看板は駄洒落系からユニーク系までバラエティ豊か
テレビもWEBもない江戸時代、商品をアピールする一番の広告媒体は看板でした。大消費地・江戸を中心に花開いたユニークな看板の世界をご紹介します。
2017-02-03 20:49:29
江戸時代の節分は12月!今とは違う驚きの豆まき風習とは
「鬼は〜外、福は〜内」のかけ声とともに豆をまく節分。江戸時代は、節分の時期や豆まきの仕方など現在と違うところもありました。2月3日の節分についてご紹介します。
2017-02-02 14:22:48
【250年前のアイドル】笠森お仙が人気絶頂のなか突然消えた理由とは?
江戸時代に江戸中の男性を夢中にさせた女性がいました。その名は「お仙」。現代のトップアイドル顔負けの人気を誇ったお仙とはどんな女性だったのかご紹介します。
2017-01-22 13:30:47
アイデア豊富! 有名絵師たちの春画が時代を先取りしすぎている【64作品】
北斎や歌麿など世界的絵師たちも手がけた春画。近年では展覧会も大盛況ですが、なかには時代を先取りする驚くような作品も。今回は淫靡なれど美しく、そしてちょっと笑えるカオスな春画を多数ご紹介します。
2017-01-20 12:05:32
目指せ大奥、玉の輿! 江戸時代の女の子の忙しすぎる1日とは?【早朝から寺子屋】
ピアノのレッスンに英語教室、ダンスや塾と現代っ子は小さい頃からとっても大忙し。しかし、江戸時代にも現代っ子を上回るような超多忙な女の子たちがいたのです。
2017-01-17 12:18:22
一人鍋が定番! 江戸時代の冬の食事は現代とちょっと違っていた フグは庶民向け
寒い冬にこそおいしくなる温かい冬の食事。おでん、すき焼き、フグ、焼き芋...。今も見るけど、ちょっと違う江戸時代の冬の食事を紹介!
2017-01-15 14:52:57

あわせて読みたい 戦国・幕末記事

大河ドラマ『真田丸』のキャストと実際の肖像画を比べてみた
戦国関連の記事2016年大河の真田丸。人気脚本家・三谷幸喜が描く戦国時代。注目のキャストと現代に残る肖像画を並べてまとめています。
2015/01/10 17:04:00
【あさが来た】2015年 もっとも人気だった幕末人物は? 303人中ベスト10を発表【花燃ゆ】
幕末関連の記事2015年は朝ドラと大河ドラマがともに幕末を取り上げました。日本最大の幕末サイト『幕末ガイド』に登録された303名のうち、アクセス順にベスト10を紹介します。
2015/12/31 13:45:00
2015年 幕末の人気記事ランキング! 1位は納得のあの人物
幕末関連の記事2015年の幕末記事のなかで、もっとも人気を集めたのは?10位から1位までランキングで紹介します!
2015/12/20 19:52:00
【猫好き浮世絵師】天才・歌川国芳が描いたネコたちがおもしろ可愛い【猫づくし】
幕末関連の記事いまから150年以上前、江戸時代末期に活躍した歌川国芳という絵師がいました。国芳は類まれなるデザイン力とユニークな発想の持ち主で、美人画や妖怪画など幅広いジャンルの作品を数多く生み出しました。そんな彼が最も好きだったのが"猫"。猫が死んだ時は寺に葬り仏壇まで作ったそうです。そんな歌川国芳が描いた、ユーモアと愛に溢れた"猫浮世絵"の数々をご紹介します!
2015/11/08 14:29:00
【実話】荒木村重は謀反の後、意外な人生を送っていた【軍師官兵衛で人気】
戦国関連の記事織田VS毛利が本格化して、盛り上がりをみせるNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』。なかでも、ひときわ注目を浴びているのが荒木村重。織田信長に反旗をひるがえしたのは有名だけど、その後の人生は意外なほど知られていません。今回は荒木村重の謀反の"その後"を紹介します。
2014/09/15 7:27:22
【写真あり】現代に通用する明治時代の美人をランキングしてみた!【22位~1位】
幕末関連の記事いまから約100年前の明治時代。調べてみると、現代にも通用する美人さんがやっぱりいた。幕末専門ブログですが今回は番外編。メジャーな人からマイナーな人まで写真つきでランキング化!
2014/04/26 19:58:00
【写真あり】現代にも通用する幕末イケメンをランキングしてみた【33位~1位】
幕末関連の記事いまから約150年前の幕末。土方歳三や龍馬らが生きていた時代にもやっぱりイケメンはいた。メジャーどころからマイナーな人物まで写真付きで完全ランキング化!
2014/02/24 2:46:00

日本の歴史をもっと身近に。

戦国ガイド
戦国時代の大名・武将の名言や画、子孫など
戦国記事のみ掲載している特集ブログ
【おすすめ】戦国時代の家紋を一挙紹介
江戸ガイド
江戸時代の将軍/大名/文化人の名言や画、子孫など
★いまココ★ 江戸時代をもっと楽しめる特集ブログ
幕末ガイド
日本最大級の幕末サイト!
幕末をもっと楽しめる特集ブログ
明治ガイド
明治時代のみを扱ったレアなサイト
【おすすめ】明治の著名人が残した名言
大正ガイド
どこか懐かしく新しい時代、大正を知ろう!
【おすすめ】芥川龍之介、竹久夢二、宮沢賢治など大正の偉人を一挙紹介
昭和ガイド
昭和の芸能人やスポーツ選手、芸術家の名言や子孫など
【おすすめ】昭和の有名人が残した心に残る名言。その数、1,000以上

コメント

  1. 「さんぴん」といわれた下級武士の年収は約24万円+お米。忍者たちも生活が苦しかったので、伊賀の忍者は昆虫ブリーダー、甲賀の忍者は傘張りといった内職をして糊口をしのいでいました。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

トラックバックURL