• 更新日:2017年8月18日
  • 公開日:2016年8月11日


え?こんなものも見世物に!?


見世物のなかにはアヤシゲなものもありました。たとえば、1805年(文化2年)の見世物ではこんなものが登場。

江戸時代の人魚(瓦版より)

人魚です。

現代の人魚のイメージとだいぶ違いますが、江戸版マーメイドはだいたいこんな感じ。

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見世物にかけられたのは、越中国(現・富山県)で漁師を悩ませていた人魚。鉄砲で撃ち取られたらしい。

この人魚、ひと目見れば寿命は延び、悪事災難はどっか行き、一生幸せ間違いない、というものすごいご利益のオンパレード。女房を質に入れても見に行くしかない!見世物興行が行われた場所など詳細は不明ですが、間違いなく大盛況だったことでしょう。


人魚といえば、こちらも忘れてはいけない。

人魚のミイラ


江戸時代の人魚のミイラ(国立民族学博物館 が再現)
画像引用元:国立歴史民俗博物館
これは国立民族学博物館が江戸時代の人魚のミイラを再現したもの。人魚というファンタジーなイメージと程遠い不気味さです。

じつはこのミイラ、上半身は猿、下半身は鮭でできているそうで、江戸時代にはミイラづくりの専門職人がいたんだとか。いや、驚き。ミイラづくりの技術は相当なものだったようで、海外にも輸出され「すわ、新種か!?」と勘違いする学者もいたとか。恐るべしメイドインジャパンクオリティ

ほかにも、河童(かっぱ)のミイラ、鬼のミイラ、龍のミイラなどさまざまなミイラが見世物に登場し、ちょっとしたミイラブームとなっていたようです。


他、変わったところではこちらも大きな話題となりました。

犬産人面狗(『街談文々集要』より、石塚豊芥子 画)

人面犬です。

そもそも人面犬が江戸時代にすでにいたことがビックリ。1810年(文化7年)に生まれた子犬のなかに人間ぽい顔をしたいわゆる「人面犬」がいたそうで、さっそく両国で見世物にかけられたんだとか(ソース 『街談文々集要』)。

ちなみに、この絵を紹介すると「いったいどの子犬が人面犬だというのか?(みんな人っぽいぞ)」と物議を呼ぶのですが、

江戸時代の人面犬
こちらが人面犬ですね。

また、多肢の犬など奇形の動物も見世物に出たようです。このあたり、今なら確実に動物愛護団体がだまっちゃいないでしょう。

別記事で江戸時代の未確認生物・物体(河童や人魚、UFOなど)を紹介していますので、合わせてご覧ください。

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身長が高すぎたばっかりに……「力持ちの大女」として人気者になった女性


1809年(文化6年)、浅草の見世物に登場したのはひとりの女性でした。

「大女・淀滝」と名付けられたこの女性、本名は「つた」。23歳だったといい、もとは品川の旅籠で飯盛女をしていたそう。

江戸時代の女性は平均身長143~146㎝くらいといわれてますが、淀滝は約188㎝(6尺2寸)。現代のモデルでもこんな高身長はめずらしいので、当時にあってはさぞ目立ったはず。

「大女・淀滝」は背が高いだけでなく、片手に持ったぶ厚い碁盤をうちわのように扇いでロウソクの火を消したり、米俵を担いだりなどといった怪力も見せ、人気者となりました。

人気者といえば華やかなイメージですが、背が人よりずば抜けて高いばっかりに見世物にされるというのは現代人から見るとなんだかちょっと気の毒なような気もします。


大きすぎる故に見世物の人気者となった女性はほかにもいました。

「お松」「お竹」「お梅」の10代三姉妹

大女として人気だった江戸時代の3姉妹(『淀川八幡於寺内興行』二代歌川豊国 画)
『淀川八幡於寺内興行』(二代歌川豊国 画)
肥後国(現・熊本県)生まれ。ご覧の通りのぽっちゃりさんなのですが、ぽっちゃり具合がケタ外れ。

  • 16歳の長女お松は身長6尺8寸(約206㎝)の体重30貫800目(約115㎏)
  • 11歳の次女お竹は身長5尺7寸(約173㎝)の体重25貫700目(約96㎏)
  • 8歳の三女お梅は身長4尺8寸(約145㎝)の体重18貫800目(約70㎏)

資料により数字に多少のバラつきはありますが、いずれにしても信じられないビッグサイズ。

遠路はるばる肥後から出てきて、江戸で見世物となり数多くの浮世絵にも描かれた三姉妹。とっても温厚でいい子たちだったそうです。

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