高貴な娘たちの救世主! おなら代理人、参上
女性たちを戦々恐々とさせたおなら。大名の姫や裕福な商人の箱入り娘などといった良家のお嬢様にとっては、放屁は人生の大問題だったに違いありません。
そこで活躍したのがおなら代理人、
その名も「屁負比丘尼(へおいびくに)」。
なんだかカッコいいぞ。
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この屁負比丘尼は主に中年女性で、表向きはお嬢様の雑用係、しかしその実態はお嬢様の放屁の身代わり役というものでした。
たとえば、ある席でお嬢様がうっかりおならをしてしまったとする。すると、側に控えていた屁負比丘尼が「お恥ずかしながら私がいたしました・・・・・・」と名乗り上げる or モノ言わぬまでもいかにも自分がしたように恥ずかしがるのです。
周りにいた人もここで「え、いやいやウソウソ。お嬢さんの方から聞こえたし」などとはもちろん言わない。高貴なお嬢様にわざわざ恥をかかせるなんて、野暮。みんな大人の対応をしたそうです。
お嬢様のおならを瞬時に察し、即座に演技をする――屁負比丘尼という仕事はなかなかに能力が問われそうです。
平賀源内に言わせれば、おならというのは「無益無能なもの」ですが、時に人を楽しませ、時に人を死にたくなるほど恥ずかしくさせる――意外と奥深い世界のようです。